The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

胎児心臓病学

一般口演01(I-OR01)
胎児心臓病学

Thu. Jul 21, 2022 2:00 PM - 2:50 PM 第4会場 (中ホールA)

座長:廣野 恵一(富山大学 小児科)
座長:前野 泰樹(聖マリア病院 新生児科)

[I-OR01-01] 在胎22週未満の先天性心疾患の出生前診断と人工妊娠中絶との関連

益田 瞳, 松井 彦郎, 佐藤 要, 大森 紹玄, 小川 陽介, 田中 優, 白神 一博, 犬塚 亮 (東京大学医学部附属病院 小児科)

Keywords:胎児心臓病, 先天性心疾患, 人工妊娠中絶

【背景】胎児心臓超音波技術の進歩により、胎児心臓診断の早期化が進む中、人工妊娠中絶(TOP)を選択する事例は少なからず存在する。日本において在胎22週未満の先天性心疾患の心臓出生前診断がTOPに及ぼす情報は少なく、現状の把握と課題の描出は適切な診療に重要な意義を持つ。【目的】当院における在胎22週未満の胎児心臓超音波検査の現状を把握し、今後の課題を描出する。【方法】2017年10月から2021年12月までの当院胎児心臓病外来において、在胎22週未満に施行したレベルII胎児心臓超音波100例を対象に在胎週数、先天性心疾患の診断、心外合併症の診断、遺伝学的出生前診断(新型出生前診断・染色体検査を含む)、TOPの有無を後方視的に検討した。先天性心疾患の重症度は既報の重症度スケールに基づきm群(PS/moderate AS/VSD/TOF/TGA/ccTGA)とs群(それ以外)に分類した。【結果】先天性心疾患が診断された41例(41%)中、19例(46.3%)がTOPを選択した。染色体異常を伴う6例は心疾患の診断に関わらず、全例がTOPを選択した。心外合併症(DORV, hypo LV)を1例に認めたが、妊娠を継続した。残りの先天性心疾患のみの34例中、m群14例中1例(7.1%)、s群20例中12例(60%)がTOPを選択し、s群で有意に高率だった(OR 19.5, p<0.05)。【考察】在胎22週未満の先天性心疾患において、染色体異常の合併と心疾患の重症度がTOPの選択に関連していた。在胎22週未満の遺伝学的検査と心疾患の重症度評価は、TOPの判断に重要な要素と考えられ、適切な遺伝カウンセリングに加えて、正確な先天性心疾患の形態と重症度の診断・治療および予後に関する説明が重要と考えられる。【結語】在胎22週未満の先天性心疾患の診断において、心外合併症を含んだ正確な出生前診断はTOPの判断に重要な要因であり、検査および情報を提供できる診療体制の構築が、適切な対応に重要であると考えられる。