[I-OR02-02] 21trisomy患者のFontan術後の遠隔期評価
キーワード:21 trisomy, Fontan, 染色体異常
【背景】21trisomyでFontan手術を選択せざるを得ない症例もあるが、気道の問題などでFontan手術不適応と判断することが多く、21trisomy患者でのFontan術後遠隔期の報告は少ない。【目的】21trisomyにおけるFontan手術後の合併症や、術後遠隔期の問題点、カテーテルデータの推移などを調べることが目的である【方法】対象は2003年から2007年の間にFontan手術を行い、術後10年以降で術後評価のためカテーテル を行った21trisomyの4症例。診療録や手術記録、カテーテルデータなどを用い後方視的に観察し、遠隔期の問題点を検討した。【結果】症例1はDORV, CAVC, PA, MAPCA, cortriatriumで三尖弁のstraddlingがありFontan手術を行った。術前の肺動脈圧は14mmHgであったが、遠隔期には21mmHgと高値であった。症例2はAVSD,TSで三尖弁の狭窄及びstraddling がありFontan手術となった。術前の肺動脈圧は15mmHg、遠隔期は10mmHg, 症例3はCAVC, hypo LV, parachute MV, ASD, CoAで左室低形成、僧帽弁狭窄症がありFontan手術を行った。術前の肺動脈圧は11mmHg、遠隔期は13mmHg, 症例4はsevere MS, hypo LV, ASD, VSD, CoAで僧帽弁狭窄と左室低形成のためFontan手術となった。術前の肺動脈圧は12mmHgで、遠隔期は12mmHgであった。症例1は、21trisomyの合併症である股関節脱臼で歩行不可であった。そのためにIVC flowの鬱滞を認めていた。その結果CVP高値を来たしFontan循環の破綻から心不全を発症し永眠された。【考察】本研究では気道が原因で肺高血圧をきたしている症例は認めなかった。しかし先天性股関節脱臼による下肢筋力低下が原因と思われるCVP高値で循環不全を来たし心不全で死亡した。呼吸循環以外の疾患にも注意する必要がある。【結論】気道の問題がない場合は、21trisomy患者でもFontan循環は成り立つ可能性があり,21trisomyだけを理由に適応外と判断する理由にはならないが、併存疾患には注意する必要がある。