[I-OR02-04] 遺伝性大動脈疾患におけるコピー数多型解析
Keywords:Copy Number Variation, Syndromic Aortopathy, Next Generation Sequencing
【背景】遺伝性大動脈疾患(syndromic aortopahties: SA)の早期診断及びリスク層別化のために遺伝子診断が大きな役割を果たしている。我々は過去の検討で、SAの約8割は次世代シーケンス解析(NGS)により1塩基変異~短い挿入/欠失が同定されたこと、残り2割のうち半分にコピー数多型(Copy Number Variation: CNV)が検出されたことを報告した。しかし、CNVの診断はIntegrative Genomics Viewer(IGV)を用いたread depthの目視の確認に依存しており、効率・再現性の面が短所であった。異なるアプローチとして、NGSを利用した解析ソフトウェアによるCNVの検出方法を検討・比較した。【方法】SAの診断もしくは疑いの症例を対象としてNGSを施行した。通常の解析で診断がつかない症例を対象とし、GenomonSV(SV)、ExomeDepth(ED)、CNVkit(kit)の三種のソフトウェアで CNV解析を行った。IGVによる確認で偽陽性と思われる症例を除外してアレイCGH解析を行い確定診断を行った。【結果】改訂Ghent基準を満たす70例、同基準全身スコア≧5と大動脈基部拡張を伴う14例の計84例が対象となった。NGSにより69例の1塩基変異~短い挿入/欠失が検出された。残り15例にCNVの解析を行い、10例(SV 1例、ED 4例、kit 8例)の疑い例が抽出された。IGVにより偽陽性が疑われる症例を除いた7例(SV 1例、ED 4例、kit 5例)はアレイCGH解析を行っており全例からCNVが検出された。【考察】 SV、EDは特異度が高いものの感度が低く、kitは感度が相対的に高いものの特異度が十分に高くなかった。IGVによる検出に匹敵するソフトウェアは存在せず、現行では目視に頼らざるを得ない。新たな解析方法の発展が望まれる。