[I-OR02-05] デスモゾーム関連遺伝子変異キャリアの小児期の特徴
Keywords:デスモゾーム関連遺伝子, 遺伝子変異, 不整脈原性右室心筋症
不整脈原性右室心筋症 (ARVC) は右室の変性に伴う右心不全と右室由来の心室頻拍を特徴とする疾患である。平均的な発症年齢は30~40歳代とされているが、小児期に心室頻拍・突然死として発症する症例も存在する。ARVCの主な原因は、細胞間接着に寄与するデスモゾームタンパクをコードする遺伝子の変異で、デスモゾーム関連遺伝子の中でもDSG2とPKP2の変異が多く同定される。しかし変異キャリアの臨床的特徴は不明な点が多い。今回、PKP2とDSG2変異を保持している小児患者について調査を行った。対象は滋賀医大で遺伝性不整脈に対して遺伝子解析を実施した患者のうち、PKP2及びDSG2に病的変異が同定された1歳以上20歳未満の発端者29人(男性19人)、検査時年齢は13.3±3.4歳。遺伝子解析の理由はARVC 17人、QT延長症候群 (LQTS) 12人、その他1人。PKP2変異は5人に同定され、そのうち3人がARVCであった。DSG2変異は21人に同定され、10人がARVCで、10人中9人はhomoまたはcompound hetero変異であり、残る1人はDSPとの重複変異だった。Hetero変異のみのキャリアでARVCはいなかった。PKP2とDSG2の重複変異保持者は3人でいずれもARVCだった。ARVCに関連する不整脈関連の症状は、心肺停止・心室細動が5人、失神が2人。いずれもARVCで、ARVC以外は全員無症状だった。症状出現時の年齢は11歳、16歳2人、17歳2人、18歳2人だった。変異内訳はPKP2+DSG2変異1人、PKP2変異3人、DSG2変異3人だった。今回の研究ではPKP2, DSG2変異キャリアであっても10歳以下の発症者はいなかった。デスモゾーム関連遺伝子変異が同定された場合、対象者の年齢や遺伝子変異の数を考慮し、臨床的に対処することが必要であろう。