[I-OR03-03] 本邦における先天性冠動脈起始異常の実態調査
Keywords:冠動脈起始異常, 全国調査, 臨床像
【目的】2021年日本小児循環器学会 研究委員会課題Bとして、「先天性冠動脈起始異常の自然歴の研究とレジストリ構築」の承認を得た。その一環として、この20年余りの間に本邦で経験された先天性冠動脈起始異常の実態調査を行なったので報告する。【方法】対象は、2000年1月1日以降に新規に診断された18歳未満の冠動脈起始異常(アALCAPA、イARCAPA、ウ 冠動脈対側冠動脈洞起始、エ 単一冠動脈、オ その他)について、日本小児循環器学会修練施設の指導者にクエスタントを用いて、診断症例数、性差、治療率、死亡率、診断方法、診断契機(a 蘇生を要すイベントや突然死、b 狭心痛、c心不全症状、d スクリーニングや偶然、e川崎病の診療過程、f その他)についてアンケート調査を行なった。【成績】91施設(41%)から回答があり、この内69施設(76%)で合計398例が診断されていた。診断内訳はア45% イ4% ウ26% エ10% オ15%であった。アは有意に女児に多くウは有意に男児に多かった。治療率は、アとイで有意に高く、それぞれ93%以上が治療を受けていたが、ウ40% エ23% オ55%であった。死亡率はア10% イ6% ウ3% エ0% オ12%であった。最終診断はCAG 49%、CT 31%、Echo 19%、MRI 1%であった。診断の契機としてアではcが60%を超えていたが、dも30%弱であった。イではcは20%弱で、dが75%であった。ウではb, d, eがそれぞれ2-3割を占めた。エではdとeで3分の2を占めたが、14%でbも認めた。オではやはりaとbで50%を超え、dとeでも36%を占めた。ウの病型としては右冠動脈左冠動脈洞起始が60%、左冠動脈右冠動脈洞起始が29%であった。【結論】先天性冠動脈起始異常の病型は多彩で有り、病型ごとに治療の必要性、死亡率は異なり、発見の契機も違う。アンケートにご協力頂いた修練施設の代表者の先生方に深謝したい。今後、2次調査を行ない、それぞれの病型ごとの臨床像を明らかにしたい。