The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

一般心臓病学

一般口演03(I-OR03)
一般心臓病学 II

Thu. Jul 21, 2022 9:40 AM - 10:30 AM 第6会場 (小ホール)

座長:加藤 温子(国立循環器病研究センター 小児循環器科)
座長:河津 由紀子(福山市民病院 小児科)

[I-OR03-04] 当科における筋性部(肉柱部)心室中隔欠損の自然経過についての検討

塚原 尭, 阿久澤 大智, 吉村 元文, 鶴見 文俊, 渡辺 健 (田附興風会医学研究所 北野病院)

Keywords:筋性部心室中隔欠損, 自然閉鎖, 肺動脈絞扼術

【背景】近年、乳児期早期までの心エコー検査が普及するに従って筋性部心室中隔欠損(mVSD)と診断されるケースが増加している。mVSDの自然閉鎖率は高い。一方で肺動脈絞扼術(PAB)後も残存して修復できていない症例も存在した。この経験から初診時の欠損サイズから予後が推定できるかと考えた。【目的】 mVSD(Kirklin VI型, Soto Trabekular型)の診断時欠損サイズによる予後を検討した。【対象と方法】 対象は、当科において2015年から2020年までに生後60日以内に心エコーでmVSD(単独)と診断し当科でフォローした62例である。2021年12月10日までのカルテを後方視的に検討した。平均観察期間は290日間(2~2368日間)、診断時の欠損サイズは主要な欠損の左室側で計測してunsizable(0.1mmと仮定)~5.8mm、平均1.7mmであった。まず肺動脈絞扼術(PAB)を要した症例(PAB+群)と要さなかった症例(PAB-群)で欠損サイズを比較した。次にPAB-群を欠損サイズが2.5mm未満と2.5mm以上で群分けし、閉鎖するかの予後に対してカプラン・マイヤー法を適用し、ノンパラメトリックに解析した。【結果】 PAB+群は1例のみで欠損サイズは5.8mmであった。これに対してPAB-群はすべて4.1mm未満であった。PAB-群のうち欠損サイズが2.5mm未満は50例、2.5mm以上は11例であり、閉鎖率は、2.5mm未満・1年で93%、2.5mm以上・3年で82%であった。PAB-群の2群間では有意差がみられた(ログランク検定でp=0.000179)。PAB-群において開存しているのは各群1例(0.8mm, 0.1mm)であった。【考察】PABを要した1例は欠損孔が5.8mmであった。このようないわゆるlarge mVSDではPABが必要となる可能性がある。PABを要さない群は欠損孔がすべて4.1mm未満で、2.5mm以下は1年以内に9割が、2.5mm以上では3年以内に8割で自然閉鎖を見込める。【結論】生後60日までに診断されたmVSDにおいて、診断時の欠損サイズで予後は推定できる可能性がある。