The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

一般心臓病学

一般口演03(I-OR03)
一般心臓病学 II

Thu. Jul 21, 2022 9:40 AM - 10:30 AM 第6会場 (小ホール)

座長:加藤 温子(国立循環器病研究センター 小児循環器科)
座長:河津 由紀子(福山市民病院 小児科)

[I-OR03-05] 重症先天性心疾患患者の県外転院搬送のまとめ

山下 尚人1,2, 高村 一成1, 原田 雅子1 (1.宮崎大学医学部 小児科, 2.県立宮崎病院 小児科)

Keywords:新生児搬送, 胎児診断, SpO2スクリーニング

【背景】宮崎県は陸の孤島と呼ばれ他県への搬送に数時間を要するが重症先天性心疾患(CCHD)の外科治療体制は十分でないため、多くを県外の手術施設に頼っている。【目的】過去15年間で手術のために県外搬送を行ったCCHD症例を検討し、今後の課題を明らかにする。【方法】2007年から2021年に当院初診後に手術のため転院搬送を行ったCCHD 76例を後方視的に検討した。【結果】院外出生41例(54%)、胎児診断33例(43%)、搬送日齢30.2±9.0日で日齢7以前の搬送15例、在胎週数38.1±0.70週、早産児13例、出生体重2718±160g、超低出生体重児3例。疾患の内訳はCoA/IAA 14例、TGA10例、TAPVD 10例、肺動脈閉鎖11例。合併症は染色体異常10例、内臓錯位症候群6例、消化器疾患6例。搬送後の手術内容は大動脈弓再建術15例、大動脈スイッチ手術10例、体肺シャント術13例、肺動脈絞扼術10例、消化管手術4例。移動手段は民間航空機39例、ヘリコプター30例、陸路5例、自衛隊ジェット機2例であった。搬送時に気管内挿管6例、気管切開1例。胎児未診断例の診断契機はチアノーゼ4例、新生児SpO2スクリーニング20例、哺乳低下等の症状8例、消化器疾患等の合併症による入院6例。転帰は死亡3例、不明1例。【考察/結論】胎児診断例が増加し、計画的な転院搬送や母体搬送が増えている。TAPVDの胎児診断率は低く、かつ出生後に診断まで時間を要しているものが多かった。CoA/IAAのうち3例は胎児期にVSDの指摘はあるものの当院胎児心エコー外来の受診はなかった。空路搬送は天候にも左右され、緊急搬送は患児の負担だけでなく、小児循環器医への負担も大きい。一次スクリーニングを含めた胎児診断のさらなる向上および出生後早期のSpO2スクリーニングが重要である。