[I-OR04-03] 当院で施行した肺動脈弁狭窄に対するバルーン拡張術の予後
Keywords:肺動脈弁狭窄, カテーテル治療, 予後
【背景・目的】肺動脈弁狭窄の治療でバルーン拡張術(PTPV)は確立した方法であり、event-free survivalは90%以上と言われている。一方、PTPV施行後の肺動脈弁逆流の増悪は1/3の症例で認めるとの報告がある。我々は若年者のPTPVで比較的治療効果が高い印象を持っており、早期の治療を心掛けている。今回当院で施行したPTPV後の経過を後方視的にまとめ、治療効果と合併症について検討したので報告する。【方法】2005年~2021年の心臓カテーテル検査台帳で肺動脈弁狭窄が主病名のものを抽出し、PTPVを施行した46例(男児22例、女児24例)の施行時期、肺動脈弁輪径、圧較差、PTPV後の弁逆流の経過について検討を行った。【結果】PTPV施行時の年齢は中央値5.5歳(0ヶ月~17歳)、複数回施行は8例あった。肺動脈弁輪径は9.35mm(5~22mm)で、正常比92%であった。バルーン径は肺動脈弁輪径の133%(97%~160%)、拡張圧は3.5atm(2.5atm~14atm)であった。圧較差は平均39.9±17.0mmHgから21.8±13.3mmHgに改善し、肺動脈弁逆流は平均trivialからPTPV施行直後trivial-slightまでの増悪にとどまった。5年以上経過観察ができた症例では、平均slightまでの増悪であった。弁逆流の増悪で手術に至った症例は無かった。1歳未満施行例は圧較差が40.8±17.8mmHgから20.5±14.3mmHg、1歳以上では38.7±16.3mmHgから23.6±12.0mmHgに改善したが、両者の間で有意差は認めなかった(p=0.359)。5年以上経過観察している10症例中、弁逆流の増悪が顕著(2段階以上の増加)であったものは、1歳未満施行例で4例中2例、1歳以上は6例中0例であった。【まとめ】PTPV施行年齢が1歳未満または1歳以上の2群間での比較においては、有効性について明らかな有意差は認めなかった。また長期的検討においては1歳未満で弁逆流が増悪する傾向があり、早期介入には注意が必要と考えられた。