[I-OR11-03] ホルター心電図はQT延長症候群の管理に有用か?
Keywords:QT延長症候群, ホルター心電図, 最長QT時間
【背景】QT延長症候群(LQTS)の管理には安静時心電図や運動負荷心電図を用いることが多く、ホルター心電図まで行っている施設は少ない。【目的】LQTS患者の安静時および運動負荷心電図での最長QT時間と、ホルター心電図での最長QT時間の差を比較すること。【方法】対象は1992年から2019年でLQTSが疑われ当科で経過観察中の463名(男性268名、女性195名)。定期的にホルター心電図を行い、5つの時間帯(深夜帯、起床時、午前、午後、夜間)でQT時間を計測し、その中で最長QT時間を検討した。また同日に施行した安静時および運動負荷4分後の心電図での最長QT時間と比較した。患児をDefinite群253名、Intermediate群168名、Low群42名に分け、3群間で最長QT時間を比較検討した。QT時間の補正はBazett法で行った(QTcb)。【結果】最長QTcb値は安静時、運動負荷後、ホルター心電図の順に、Definite群: 0.446±0.041s、0.470±0.034s、0.557±0.034s、Intermediate群: 0.426±0.028s、0.451±0.026s、0.540±0.028s、Low群: 0.425±0.026s、0.440±0.021s、0.524±0.035sだった。3群ともにホルター心電図が有意に長かった(p<0.001)。最長QT時間が得られた時間帯は3群ともに2-4時の深夜帯が最も多かった(Definite群61%、Intermediate群54%、Low群47%)。内服治療を行っている症例はDefinite群75名(30%)、Intermediate群6名(3.6%)、Low群0名で、これらのホルター心電図の最長QTcb値はDefinite群: 0.578±0.039s、Intermediate群: 0.567±0.027sであった。【結論】ホルター心電図は、安静時や運動負荷心電図よりもはるかに長い最長QT時間を検出した。ホルター心電図の結果によりIntermediate群でも内服治療を開始した例があり、LQTS患者の管理にはホルター心電図が有用である。