[I-OR11-04] 新生児期・乳児期早期発症の頻拍症の転帰について_単一施設での検討
Keywords:新生児, 頻拍症, WPW症候群
【緒言】新生児期・乳児期早期発症の頻拍症は自然軽快することが多いと報告されているが,実際に転帰まで報告されているものは少ない.【方法】 2004年から2021年までで,当院に入院した基礎心疾患を伴わない頻拍症9例の臨床像および転帰について後方視的に検討した.【結果】9例中5例は、新生児室や他疾患での入院中に偶発的に頻拍を指摘された.一方4例は哺乳不良や呼吸窮迫症状等の心不全症状であった.発症日齢は中央値 13日(1~53)であった。臨床診断:潜在性WPW(cWPW)4例,顕性WPW(mWPW)2例,間欠性WPW(iWPW)1例,異所性心房頻拍(EAT)1例,心室頻拍(VT) 1例であった.頻拍誘発性心筋症は4例(cWPW2,iWPW1, mWPW1)で認めた.全例で抗不整脈薬治療を開始し外来フォローを行なった.内服:WPW 6例でフレカイニド,1例でプロプラノロール.EAT 1例でアテノロール,VT1例でフレカイニド.内服期間は中央値 12ヶ月(3~24),観察期間は中央値 33ヶ月(4~60)であった。フォロー期間中、mWPWの1例は1歳6か月時にアブレーション治療を受けたが、8例は頻拍を認めなかった。2例(mWPW 1, cWPW 1)は治療継続中で、6例はフォロー中に治療を中止でき再発は認めなかった。このうち3例(cWPW 2例、iWPW 1例)には電気生理検査(EPS)を実施し、cWPW 2例は副伝導路の自然消滅を確認でき定期フォローを終了した。iWPWの1例はEPSで頻拍が誘発されたためフォロー継続中である。他の3例(cWPW1, EAT1, VT1)は新生児期以降全く頻拍を認めなかったため、cWPWは8歳、EATとVTの2人はそれぞれ2歳、1歳で定期フォローを終了した。【考察】1例のみアブレーション治療を要したが、6例で治療を中止でき5例はフォローも終了できた。既報と同様に当院の頻拍症症例の転帰も良好である。ただ、中にはEPSで頻拍が誘発される症例もあり、可能な限り確認しておく必要があると考えられた。【結論】新生児期・乳児期早期発症の頻拍症の転帰は良好である。