[I-P1-1-09] 胎児動脈管蛇行・動脈管瘤は3rd trimesterに進行する
Keywords:動脈管蛇行, 動脈管瘤, 胎児
<背景>動脈管蛇行・動脈管瘤は 3rd trimesterの胎児心エコーで1%に見られるとの報告があり、臨床上でもしばしば遭遇する所見である。胎児期には動脈管の屈曲による動脈管狭小化の報告があり、出生後には血栓症、瘤破裂、反回神経麻痺の報告がある。<目的>動脈管蛇行・瘤の胎児期および新生児期における形態変化、随伴症状を調べる。<対象と方法>当院で2015年から2021年に胎児心エコーで孤立性動脈管蛇行・動脈管瘤と診断された25症例を対象として、胎児心エコー所見、母体情報、新生児経過を診療録をもとに後方視的に検討した。<結果>母体年齢は21歳から42歳(中央値35歳)で母体疾患は甲状腺機能亢進症3例、橋本病1例、シェーグレン症候群1例などであった。糖尿病はなく、結合織疾患もなかった。3rd trimesterのみに胎児心エコーを施行した症例は18症例であった。2nd trimesterから 3rd trimesterにかけて胎児心エコーをフォローアップ出来た症例は6症例あり、2nd trimesterでは動脈管が屈曲する角度は全6例で100度~180度であったが、3rd trimesterではすべての症例で屈曲が進行し、90度より鋭角に屈曲したものが4症例あった。残りの2症例は3rd trimesterにおいても100度から120度程度の屈曲であった。全25症例を見ると、経過中15症例が90度より鋭角に屈曲し、そのうち60度よりも屈曲した症例は11例認められた。胎児期に臨床的に有意な動脈管狭小化が認められた症例はなかった。25症例中21例において出生後の心エコーを後方視的に確認できたが、新生児動脈管瘤が存在したのは17例であった。生後、動脈管瘤の関与が疑われる症状が出現したのは1例で、反回神経麻痺が認められたが改善した。動脈管閉鎖術を要した症例はなく、大動脈縮窄も認められなかった。<まとめ>胎児動脈管蛇行は過去にも報告があるように3rd trimesterに進行していた。孤立性動脈管蛇行・瘤は比較的予後良好な所見と考えられた。