The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

画像診断

ポスター発表(I-P1-3)
画像診断 II

Thu. Jul 21, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場

座長:市橋 光(自治医科大学附属さいたま医療センター 小児科)
座長:大月 審一(岡山大学病院 小児科)

[I-P1-3-02] 大動脈縮窄症術後患者の遠隔期合併症予測における4D flow MRIの有用性

岡 秀治, 伊藤 啓太, 佐々木 勇気, 今西 梨菜, 島田 空知, 中右 弘一, 高橋 悟 (旭川医科大学 小児科)

Keywords:大動脈縮窄, 4D flow MRI, 螺旋流

【背景】大動脈縮窄術後遠隔期の合併症は、再縮窄、高血圧や大動脈拡大・瘤形成が問題である。狭窄部の圧較差が20mmHg未満であれば治療適応はなく、高血圧や大動脈拡張もなければ小児では経過観察することが多い。しかし、成人期に合併症をきたす症例は少なくない。4D flow MRIは血流を可視化する技術であり、乱流や圧損失を評価することができ、術後の異常な血行動態を同定できる可能性がある。【症例】18歳男性。大動脈縮窄、大動脈二尖弁の診断で、日齢16に拡大大動脈再建術が施行された。合併症なく経過し、術後評価目的に入院した。血圧の上下肢差は認めず、心電図で左室肥大所見は認めなかった。心臓超音波検査で大動脈弁の流速は1m/s、吻合部の流速は2.4m/s(ΔP 22mmHg)であった。心臓カテーテル検査では上行大動脈 23.8mmに対して吻合部は12.7mmと狭窄していたものの、圧較差は認めなかった。下行大動脈は29.5mmと拡大を認めた。4D flow MRIでは、吻合部以降の下行大動脈の血流が著明な螺旋流を呈していた。吻合部のエネルギー損失(ピーク値)と壁面せん断応力(平均値)は1.21mW、0.27Paと、上行大動脈の0.55mW、0.1Pa、下行大動脈の0.43mW、0.15Paに比べて明らかに上昇していた。【考察】血流の可視化は4D flow MRIが得意とする部分であり、定量的な評価も可能にする。大動脈血流が層流ではなく螺旋流を呈す場合、大動脈拡張への影響が指摘されており、本症例は将来的に大動脈拡張が進行する可能性がある。また、螺旋流は高血圧にも関わるとの報告もあり、高血圧の合併にも注意が必要である。【結論】大動脈縮窄術後患者では、再狭窄所見が乏しくとも異常血流が発生していることがあり、そのことが将来的な高血圧や大動脈拡大に影響を及ぼす可能性があるため、注意深い経過観察が必要である。