[I-P1-3-09] 大動脈基部拡張と渦流を合併する症例に対する血流解析: 4D flow CMRの有用性
Keywords:4D flow CMR, 心臓MRI, 血流解析
【背景】二次元位相差コントラスト法(2D-PC法)を用いた大動脈弁逆流(AR)逆流率の測定は広く応用されている.一方,大動脈基部拡張を伴い上行大動脈の血流が渦流を呈する場合は,2D-PC法では正確に評価ができないことがある.4D flowでは渦流や逆流の方向などを可視化することができ,この問題を解決しうるものと思われる.【症例】23歳男性.大動脈二尖弁であり,心エコーでは軽度の弁狭窄とこれに伴う上行大動脈の拡張,中等度の弁逆流と評価されていた.CMRでは2D-PC法の大動脈弁逆流率は21.7-37.8%であり,逆流については心エコーと矛盾する結果であった.そのため,4D flowで撮影し,ワークステーション(cvi42)上でPathline表示を行い,大動脈弁の順行血流・逆行血流を各時相で追跡し,血流と垂直な断面を設定して解析した.その結果,4D flowに基づいて算出された大動脈弁逆流率は15%未満と判断した.【考察】2D-PC法による大動脈弁逆流率が過大評価となった理由として,1)上行大動脈が拡大しており血流が渦流となっていたため,大動脈順行血流が設定断面と垂直にならず,順行血流が過小評価となっていること,2) 逆行血流は大動脈弁逆流の血流と,拡大した上行大動脈にとどまる血流との両者を測定してしまっているため,逆行血流が過大評価となっていること,の2点が考えられる.【結論】CMRによる大動脈弁逆流の解析を行う際に,大動脈の形態とこれに基づく血流パターンを十分考慮して解析する必要がある.そのうえで, 2D-PC法による評価が困難な場合には,4D flowによる解析が有用である.