The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

ポスター発表(I-P1-4)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患 I

Thu. Jul 21, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場

座長:澤田 博文(三重大学大学院 小児科)
座長:星野 健司(埼玉県立小児医療センター 循環器科)

[I-P1-4-01] 肺動脈性肺高血圧症におけるNO負荷試験のstroke volume indexの臨床的有用性

高月 晋一, 川村 悠太, 清水 由律香, 川合 玲子, 松裏 裕行 (東邦大学医療センター大森病院小児科)

Keywords:stroke volume index, Cardiac index, PAH

<背景> 肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者における急性血管拡張能試験の反応性の定義にcardiac index(CI)が含まれるが、検査中の心拍数に影響を受けやすいため、stroke volume index(SVi)による評価が用いられている。しかし、一酸化窒素(NO)負荷試験のSViの臨床的有用性は十分知られていない。<目的> 小児および若年成人期のPAHにおけるNO負荷試験のSViが予後予測因子となるかを検討した。<方法> PAH 22例(年齢中央値24歳(5-44歳)、特発性:遺伝性 18例:4例、女性18例)に対しNO負荷試験を行った心臓カテーテル検査結果を後方視的に検討した。NO負荷試験は室内気での肺血行動態を測定後、経鼻カニューレから40ppmのNOと酸素2L/minの酸素との混合ガスを吸入させ血行動態の評価を行った。Adverse events (AE)は、心不全入院、肺移植登録、心不全死とした。<結果> SViは室内気の中央値が41.3ml/ m2(23.2-62.5ml/m2)、NO負荷時では44.6ml/ m2(23.9~62.3ml/m2)であり、変化率の中央値は+3%(-2.9 - +10.9%)であった。一方でCIは室内気の中央値が3.8L/min/m2(1.6~6.5L/min/m2)、NO負荷時では3.6L/min/m2(1.6~6.0L/min/m2)であり、変化率の中央値は-5.1%(-22.2 - +15.2%)と低下を認めた。心拍数の中央値は室内気で85/min(69-113/min)、NO負荷時で75/min(63-97/min)と低下を認めており、CI低下の要因と考えられた。2年間の経過観察中に6例(27%)(3例移植登録、2例心不全入院、1例突然死)にAEを認めた。室内気でSViが40ml/m2未満の症例は11例(50%)であったが、NO負荷試験後には6例のみであり全例でAEを認めた。<結論> PAH症例ではNO負荷時にCIは心拍数によって減少するが、SViでは増加を示しており、SViの方が右室機能の評価において有用性が高いと考えられた。またNO負荷後にSVi が40ml/m2未満症例では予後不良であった。