[I-P1-5-06] ラットPHの右室機能不全におけるBmpr2変異の役割
Keywords:肺動脈性肺高血圧, 右室機能, Bmpr2変異
【背景】BMPR2変異は肺動脈性肺高血圧の主要な遺伝的リスク因子であり、生命予後の悪化と関連する。BMPR2変異保因者における疾患重症度や予後の悪化は肺血管病変によるとされてきたが、BMPR2変異はPHとは独立して右室心筋やその機能に影響を与えることが近年の報告で示唆されている。しかしBMPR2保因者における右室機能障害の詳細や、そのメカニズムは不明である。【仮説】Bmpr2変異を有するラットは、変異のないラットに比べて右室機能が低下している【方法】まず7週齢のSprague-Dawley(SD)ラットで、モノクロタリン (MCT)- PHモデルを作成し、PH進行に伴う右室機能の経時的な変化を心エコーで評価した。次にCRISPR/Cas9ゲノム編集にて生成したBmpr2変異ラットおよび野生型同腹仔において、同様にMCT-PHモデルの作成、心エコーによる右室機能評価を行い比較した。【結果】SDラットMCT-PHモデルでは、PH増悪に伴い右室壁肥厚、右室拡大等の形態的変化やPA-AT短縮が進行した。またMCT投与後28日目には右室収縮能、心拍出量の低下が顕著となった。Bmpr2変異ラットおよび野生型同腹仔のMCT-PHモデルにおいても同様の変化が見られたが、MCT投与後21日目までの評価では両群間に有意差は見られなかった。【考察】疾患の初期段階と考えられるMCT投与後21日目までの評価では、Bmpr2変異ラットと野生型同腹仔の間で、右室形態的変化、機能的変化に有意差は見られなかった。今後、疾患の後期段階と考えられる21日目以降での評価を行う必要がある。【結論】MCT-PHモデルの疾患初期段階においては、Bmpr2変異ラットと野生型同腹仔で右室形態的変化、機能的変化に有意差は見られなかった。