[I-P1-5-05] 肺静脈狭窄に伴う重症高血圧症はαSMAに関連する
Keywords:肺静脈狭窄, 肺高血圧症, αSMA
背景:肺静脈狭窄症は、狭窄の程度によって新生児期より重度な高血圧症の原因となり手術的介入が必要な重篤な疾患である。しかし、肺静脈狭窄の程度と肺高血圧の程度の関連を示す指標は明らかではない。目的:肺静脈の段階的な狭窄モデルの確立と、狭窄部と肺高血圧の重症度を示す指標を検索すること方法:肺静脈狭窄モデルとして、6週齢のSDラット(200-250g)を麻酔下で開胸、直視下に胸腺を摘除後、左房にクリップをかけ狭窄部位を作成し閉胸した。術後、1週間ごとに心エコー検査を行い狭窄部位の平均圧較差5mmHg以下、5-10mmHg, 10mmHg以上の3群をそれぞれmild群、moderate群、severe群に分類した。対象群として、同ラットの胸腺摘除のみを行い閉胸した。術後18週にて安楽死を誘導し、心臓・肺を摘出し分子学的分析、組織学的分析を行った。結果:対象群と比し、mild群、moderate群、severe群の肺動脈中膜厚、肺静脈中膜厚、右室圧左室圧比は狭窄部の圧較差と相関した(r=0.65, r=0.72, 0.70)。体重増加率、左室駆出率、心拍出量、肺重量、右室重量に相関を認めなかったものの、血管収縮や繊維化の指標となる分子学的指標の中で、特にαSMAはsevere群で上昇し、mild群、moderate群では上昇を認めなかった。結語:左房狭窄モデルラットは、肺動脈、肺静脈の中膜肥厚と右室圧左室圧比の上昇を認め、肺静脈狭窄症の肺や心臓に対する圧負荷を示すモデルになりうることがわかった。中でも、αSMAは重症肺静脈狭窄で上昇するものの、軽度から中等度の狭窄では上昇を認めず、肺血管リモデリングについては軽度の可能性が示唆された。