The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

自律神経・神経体液因子・心肺機能

ポスター発表(I-P1-5)
自律神経・神経体液因子・心肺機能

Thu. Jul 21, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場

座長:畑 忠善(藤田医科大学ばんたね病院 臨床検査部)
座長:南沢 享(東京慈恵会医科大学 細胞生理学講座)

[I-P1-5-07] 幼児ラットを用いた低酸素負荷右室不全動物モデルによる右室不全病態の解析

伊藤 怜司, 浦島 崇, 糸久 美紀, 藤原 優子 (東京慈恵会医科大学 小児学講座)

Keywords:基礎研究, 低酸素血症, 右室不全

【背景】低酸素負荷は心肺機能向上に有効であり高地トレーニングなどの有用性が報告されている。また、チアノーゼを呈する先天性心疾患(CCHD)では長期チアノーゼに伴う全身性合併症は生命予後に影響を与えることが知られている。更にCCHDは出生時より狭窄病変や短絡に伴う右心不全を認めることが多い。右室不全に関し近年知見が蓄積されているが、CCHDにおける右室リモデリングへの影響は未だ不明である。【目的】低酸素負荷右心不全動物モデルの作成と組織学的評価を行う。【方法】離乳直後の3週齢SDラットを低酸素環境下(13%)で1週間飼育し4週齢(約80g)時に肺動脈絞扼術を施行する。術後も低酸素飼育を継続し3週後に心エコーとカテーテルを用いて心機能の評価、摘出臓器標本により心室重量と心筋線維化測定を行う。結果を大気飼育群と比較し低酸素負荷右心不全の特性を明らかにする。【結果】対象は低酸素群(PAH)n=5, 大気群(PAR)n=9, 低酸素対照群(CH)n=3, 大気対照群(CR)n=4とした。術後3週における絞扼部流速(m/s)はPAH: 89.7±11.9, PAR: 103.0±5.6, p=0.29, 心室中隔形態による右室左室圧比はPAH: 1.05±0.14, PAR: 1.19±0.08, p=0.36, 右室左室重量比はPAH: 0.59±0.02, PAR: 0.58±0.03, p=0.97, 右室線維化率(%)はPAH: 5.1±0.4, PAR: 4.2±0.4, p=0.15, 右室対左室線維化比はPAH: 1.4±0.2, PAR: 1.8±0.3, p=0.19, 対照の右室左室重量比はCH: 0.36±0.01, CR: 0.29±0.03, p=0.08だった。【結論】幼児ラットを用いた低酸素負荷右室不全モデルの作成が可能であった。右室圧負荷の程度は同等であったが低酸素負荷では左室も同様に線維化が促進しており、成長期の心筋に不可逆的なリモデリングを呈した。今後、造影CTによる冠動脈形態や電子顕微鏡による心筋代謝に関わるミトコンドリア形態評価を行う予定である。