The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

外科治療

ポスター発表(I-P1-6)
外科治療 I

Thu. Jul 21, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場

座長:小沼 武司(長野県立こども病院 心臓血管外科)
座長:芳村 直樹(富山大学 第1外科)

[I-P1-6-06] Senning型心房スイッチ手術の術式の改善と結果の検討

櫻井 一1, 野中 利通1, 櫻井 寛久1, 大河 秀行1, 野田 美香1, 佐藤 賢司1, 加藤 葵1, 前野 元樹1, 大橋 直樹2, 西川 浩2, 吉田 修一朗2 (1.JCHO中京病院 心臓血管外科, 2.JCHO中京病院 小児循環器科)

Keywords:Senning, 心房スイッチ, 手術成績

【目的】心房スイッチ手術(At.S)は現在でも,ダブルスイッチ手術(DSO)やheterotaxyの複雑な静脈還流を伴う例に対する心内修復に際し必要な術式だが,狭窄のない体・肺静脈路を立体的に再建するのには工夫を要する.当院では06年以後積極的にパッチを補填したりsutureless法を併用したりして,自己心房壁にこだわらずに再建し成績が改善したので,その前後での成績を比較検討した. 【方法】対象は全17例で,前期は94年から05年までの8例,後期は06年から21年までの9例だった.疾患の内訳と術式は前・後期でそれぞれ,ccTGA に対するDSOが3, 7例,TGA で動脈スイッチ困難例のAt.Sが4, 0例,polyspleniaの心房内septationのためのAt.Sが 1, 2例だった.これらのAt.S術式の詳細,術後静脈路狭窄の有無,成績について検討した.【結果】手術時年齢は4.9±4.5,2.6±2.7歳で有意差なく,経過観察期間は171±109,41±56ヵ月と前期で長かった.At.Sの3層の再建時のパッチの補填率は7/24 (29%),19/27 (70%)と後期で有意に高く,パッチ素材は新鮮自己心膜が6,11例,PTFEが0,9例,ウシ心膜が1,0例だった.後期では最外層でsutureless法の併用が3例あった.術直後SVCは14±3,11±2,術直後IVCは13±3,10±2,遠隔期SVCは17±7,8±3,遠隔期IVCは13±7,8±3 mmHgといずれも後期で有意に低かった.前期で入院死亡が1例,遠隔死亡が2例あり,2例は術後SVC狭窄が関与していた.後期で死亡例はなかった.前期でSVC狭窄の再介入が1例あったが後期ではなく,肺静脈路の狭窄例は前・後期ともなかった.【考察と結語】前期ではPVO予防の重視とできるだけパッチを補填しないAt.Sの観点から体静脈路が狭めになる傾向があり,生命予後の悪化にも関与していた.後期では積極的にパッチ補填をしたりsutureless法を併用したりして余裕のある静脈路を再建することで予後が改善した.今後さらに長期の経過を追っていく必要がある.