[I-P2-1-02] 地域支援病院におけるパリビズマブ投与の変遷;2019年版ガイドラインの改定を受けて
キーワード:パリビズマブ, 先天性心疾患, RSウイルス
【はじめに】パリビズマブはRespiratory syncytial virus(RSV)に対するモノクローナル抗体製剤であり、2005年より先天性心疾患(CHD)患児に対して使用されている。本剤によりCHD患児のRSV重症化の抑制が期待され、広く投与が行われてきた。2019年にはより使用の適正化を行うため、日本小児科学会および日本小児循環器学会から相次いでコンセンサスガイドラインが発表された。今回、小児心臓手術を手掛けていない地域医療支援病院にて施行したパリビズマブ投与数についてコンセンサスガイドライン発行前後の動態を精査し、報告する。【方法】2017年から2021年開始のパリビズマブ投与患者を電子診療録から後方視的に収集、検討した。パリビズマブ投与患者は心疾患、早期産、ダウン症候群、免疫不全などを含むその他の4群に分け、それぞれ投与シーズン毎の変動を検討した。【結果】2017年から2021年開始の計5シーズンについての総接種患者数は54/66/56/28/38であった。内訳は心疾患12/30/15/1/3、早期産40/32/36/25/30、ダウン症候群2/4/5/2/5、その他は各シーズン認めなかった。パリビズマブ投与中にRSV罹患並びに入院を必要とする重症化を来した症例は認めなかった。【考察】パリビズマブ投与を受けた心疾患患者はコンセンサスガイドラインが浸透した2020年を契機に激減しており、何れの症例も抗心不全療法として利尿剤内服を行っていた。パリビズマブ投与中のRSV罹患者、重症化患者を認めなかったことから重症化の抑制に深く寄与していると考えられた。【結語】コンセンサスガイドラインの浸透により無症状な心疾患患者のパリビズマブ接種が抑制された。本剤は筋肉注射を必要とするため患者負担が大きく、医療経済面からも適正に使用されるべきである。