第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

一般心臓病学

ポスター発表(I-P2-1)
一般心臓病学 I

2022年7月21日(木) 15:10 〜 16:10 ポスター会場

座長:片岡 功一(広島市立広島市民病院 循環器小児科)
座長:齋木 宏文(岩手医科大学 小児科学講座)

[I-P2-1-04] 治療を必要とする心房中隔欠損の診断契機としての検診の重要性の検討

津田 恵太郎, 清松 光貴, 鍵山 慶之, 高瀬 隆太, 寺町 陽三, 籠手田 雄介, 須田 憲治 (久留米大学 医学部 小児科)

キーワード:学校心臓検診, 心房中隔欠損, 診断

【背景】心房中隔欠損(ASD)は、成人期まで診断されないことも多い先天性心疾患である。ASDの診断契機としての新生児・乳児検診と学童心臓検診(小学、中学、高校)の意義について検討した。【方法】対象は、久留米大学病院でASDのカテーテル治療を受けた患者の内、学校心臓検診を受けた可能性のある年齢6歳~39歳の177例。診療録を元に、診断契機、診断時年齢、治療時年齢、体格、治療時の有意心雑音(2/6以上)有無、欠損孔最大径、Qp/Qsについて検討した。【結果】診断契機は、学童心臓検診(A群)51%、乳児検診(B群)20%、「その他」24%、職場検診5%。検診2群についてみると、診断年齢中央値はA群6(6~15)歳、B群0.25(0.08~3) 歳だったが、治療時年齢はA群10.3(6~32)歳、B群12.2 (6.4~39)歳で、B群でより長期の経過観察後に治療されていた(p<0.001)。B群の91%は心雑音で精査されたが、治療時に心雑音を認めたのは57%に減少した。A群の79%は心電図異常、14%が心雑音を契機に精査されたが、治療時に有意心雑音を有したのは46%であった。A群について有意心雑音の有無で比較すると、群間に治療時年齢、体格に有意差は無かったが、心雑音のある例が大きな欠損孔(15.3± 5.0 vs.と12.2 ± 4.4mm, p<0.01)とQp/Qs(2.4 ± 0.3 vs. 2.0± 0.7, p<0.01)を示していた。一方、心電図を契機に見つかり有意心雑音の無い例は、A群の46%、全体の23%を占め、欠損孔径12.0 ± 4.4 mm、Qp/Qs 2.0± 0.6であった。【結語】乳児・学校心臓検診は小児期のASDの診断契機として重要である。特に心電図検診でのみ診断される可能性のある患者が治療の必要なASDの20%以上を占める。