[I-P2-2-01] 胎児期からの高度肺静脈狭窄に由来する肺高血圧が遷延した総肺静脈還流異常の2例
Keywords:total anomalous pulmonary venous connection, pulmonary vein stenosis, pulmonary hypertension
[背景]胎児期から高度肺静脈狭窄を合併する先天性心疾患では、二次性肺リンパ管拡張症を合併する例が存在する。肺静脈狭窄解除以降も肺高血圧が遷延し、予後不良因子とされる。[症例1]胎児心エコーで無脾症、SRV、TAPVC(1b)、PS、PVOと診断。胎児MRIではnutmeg lungは認めず。在胎38週、2710gで出生。SpO2 30-40%で両側気胸を合併。緊急でPVOに対するステント留置術、胸腔ドレナージを施行。留置後はSpO2 80%まで上昇したが、ミルク開始で乳糜胸を併発。生後3か月、体重2.6kgでTAPVC suture less repair、PAB施行。5か月の心カテで肺高血圧(mean PAP 29mmHg、Rp 8.3U・m2)を認め、術後より導入したsildenafilにambrisentanとberaprostを追加。7か月でも肺高血圧は残存(mean PAP 29、Rp 7.2)。1歳時にRTXを導入。1歳3か月時に肺高血圧改善(mean PAP 16、Rp 2.8)。1歳4か月時にGlenn手術施行。術後胸腹水は目立たず、4週間で退院。SpO2 85%で経過し、Fontan手術待機中。[症例2] 在胎38週、3300gで出生。SpO2 50%で、TAPVC(1b)の診断。左気胸認め、日齢1に当院搬送。垂直静脈に高度狭窄を認め、同日緊急でTAPVC suture less repair施行。術後乳糜胸を併発。術後肺高血圧が残存しsildenafil開始し、ambrisentan追加。2か月時心カテで軽度肺高血圧(mean PAP 23、Rp 3.4)であったが、刺激で容易にsystemic PHに変動。Beraprost追加しHOT導入の上退院。4か月時に感染を契機にPH crisis発症。5か月時には高度肺高血圧(mean PAP 62、Rp 12.9)を認めた。RTXを導入し、Selexipagへの置換を考慮している。 [考察]高度肺静脈狭窄解除後に遷延した肺高血圧に対し、肺血管拡張薬の多剤併用やRTXによる呼吸器リハビリなどを行っている。両症例ともびまん性の肺野透過性低下は残存。生直後の気胸や乳糜胸の合併などの臨床経過や画像所見から、肺リンパ管拡張症の存在が疑われ、慎重な管理が必要である。