[I-P2-2-02] 動脈管の狭小化により大動脈閉鎖症と診断した右側相同心の一例
Keywords:右側相同心, 大動脈弁閉鎖症, 総動脈幹症
【はじめに】右側相同心の大血管に関連した形態異常として頻度が多いのは肺動脈狭窄/閉鎖であり、大動脈弁および大動脈の異常は稀とされている。今回、我々は動脈管の狭小化により大動脈閉鎖症と診断した右側相同心の一例を経験した。【症例】診断:右側相同心、右胸心、右室型単心室、大動脈閉鎖症、上行大動脈低形成、動脈管開存、総肺静脈還流異常症。在胎22週時に胎児心エコー検査で単心室症を疑われ当院へ紹介となった。精査にて、右側相同心、右胸心、右室性単心室、総肺静脈還流異常症と診断した。心室から起始する一本の大血管を認めたが形態が同定できず、総動脈幹症(TAC)と左心低形成症候群類縁疾患の鑑別が必要であった。在胎38週6日、体重2670gで出生。出生後の心エコー検査と造影CT検査で、一本の大血管から左右の肺動脈、左右総頸動脈、鎖骨下動脈が起始しており、TAC(Van Praagh分類A2)と診断した。また、冠動脈は総頸動脈から起始しており冠動脈起始異常と診断した。日齢6で両側肺動脈絞扼術を施行し利尿良好、浮腫改善傾向であったが、術後3日目頃より血行動態が不安定となり尿量が低下した。再度施行した心エコー検査で大動脈弓と判断していた部位に狭窄を認めた。同所見より同部位は動脈管であると判断し、プロスタグランジン製剤の投与を開始した。その後、狭窄所見は消失し血行動態が安定した。以上の経過よりTACではなく大動脈閉鎖症の診断に至った。生後、1か月に総肺静脈還流異常症の修復術を行い、Norwood手術を待機している。【考察】右側相同心に大動脈閉鎖症・上行大動脈低形成を伴う稀な形態を経験した。大血管の弓部から総頚動脈が分岐し動脈管の同定が困難であり、動脈管が狭小化するまで診断できなかった。また、動脈管と大動脈弓の接合部が通常より中枢側に偏位しておりNorwood手術の手法に工夫が必要である。