[I-P2-3-08] 胎児期動脈管の矢状断計測値と在胎週数に関する検討
Keywords:胎児心エコー, 動脈管, AMPLATZERピッコロオクルーダー
【緒言】胎児期動脈管の正常計測値の定量化は、未熟児動脈管開存症(PDA)のカテーテル治療の重要な情報となり得る。胎児期動脈管の冠状断計測値と在胎週数の関連性を示す過去の報告はあるが、カテーテルの側面像に近い矢状断計測値のデータはない。【目的】胎児期動脈管の矢状断計測値と在胎週数に関する散布図から回帰曲線を求め、動脈管径のZ scoreを算出し、週数とAMPLATZERピッコロオクルーダーのサイズ選択に関し検討すること。【方法】正常胎児の動脈管形態を胎児心エコーの矢状断で描出し計測を行った。動脈管形態はKrichenko分類で記述した。動脈管の肺動脈側、大動脈側の径に加え、type Fは動脈管の屈曲部の径も測定し、最小となる値を動脈管径とした。Z score=(ln(測定した動脈管径)-(m*ln(在胎週数)+c))/RMSEとして算出した。mは係数、cは切片、RMSEは平均平方二乗誤差を示している。決定係数はR2とした。【結果】対象は21例で、在胎週数は20-39週(中央値29.7週)であった。動脈管形態は、Krichenko type Cが7例、type Fが14例であった。回帰式は、m=1.867、c=-5.288, RMSE=0.188, R2=0.74であった。回帰曲線上の動脈管径は、2.1 mm(25週), 2.9 mm(30週), 3.9 mm(35週)であった。 【考察】ピッコロオクルーダーのウエスト径3 mm、4 mm、5 mmのデバイスには、2 kg以下の児ではそれぞれ動脈管径1.7 mm以下、1.8-3.2 mm、3.3-4 mmが推奨されている。出生後に動脈管形態が変化しない仮定の下ではあるが、本研究のデータでは、各サイズに20週前半、20週後半、30週前半が対応した。また、36週以降はいずれも4 mm以上でありピッコロオクルーダーの適応がなかった。