[I-P2-3-09] 胎児診断した血管輪の1例
Keywords:胎児心臓病, 血管輪, 気管狭窄
【はじめに】血管輪は大動脈弓の発生異常により気管、食道を血管構造物が取り巻く疾患で、新生児、および乳児の呼吸困難の原因と知られている。症状の発症時期は病型や症例によって異なる。我々は胎児期に右側大動脈弓、左動脈管による血管輪と診断し出生直後より経過観察を行い、造影C T、気管支鏡検査により精査した一例を経験したので報告する。【症例】在胎24週0日に産科開業医より、右側大動脈弓、血管輪の疑いと指摘され紹介受診。U shapeを認め右側大動脈弓、左動脈管による血管輪と診断。在胎37週5日 前期破水のため誘発分娩で出生。出生体重2620g、Apgar scoreは1分8点5分9点だった。啼泣時に吸気性喘鳴を認めたが安静時は無症状であった。日齢5に左動脈管の閉鎖を確認。日齢7に施行した胸部造影C Tでは右側大動脈弓、Kommerell憩室、第一分枝は左腕頭動脈で、左鎖骨下動脈は正常に左腕頭動脈から起始し主気管支に軽度の狭窄を認めた。日齢8に喘鳴の悪化無く退院。日齢22に施行した気管支鏡検査では、咽喉頭部や気管支末梢部に問題は無く、主気管支の狭小化および右側からの拍動性の圧迫が確認された。治療介入せねば将来的に気管狭窄を生じる可能性があると判断し治療待機中である。【考察】血管輪は、本症例のように啼泣時のみの喘鳴で明らかな呼吸障害・嚥下障害が認めなくとも、積極的に気管支鏡検査を行い気管圧排の有無を評価し治療のタイミングを検討する必要がある。