[I-P2-4-01] 22q11.2欠失症候群に肝外型門脈体循環シャントを合併した1例: 新規報告例
Keywords:門脈体循環シャント, 22q11.2欠失症候群, 染色体異常
【背景】22q11.2欠失症候群(22qDS)は先天性心疾患、精神神経症状、発達遅滞などを高率に合併する染色体微細欠失として知られる。いっぽう、先天性門脈体循環シャント(CPSS)は比較的稀な疾患で、門脈系から分岐する異常シャント血管が直接体静脈に流入する。シャント血管の太さや短絡量に応じて、高ガラクトース血症、高アンモニア血症や肝肺症候群、脳症などの多彩な臨床症状・合併症を呈する。【症例】日齢0男児。出生後の診察で特異顔貌、心エコーでファロー四徴症を指摘されNICUへ紹介入院となった。FISH法で22qDSの確定診断に至った。日齢4に提出した新生児マススクリーニングで高ガラクトース血症を認め、血中アンモニア、胆汁酸、マンガンも軽度上昇していた。腹部血管造影、造影CT検査で脾静脈から上行し左腎静脈へ短絡するCPSSを確認した。肝内門脈の発育は良好だった。経時的に頭部MRI検査を評価したが、脳血管の異常は認めなかった。ラクツロースシロップ、乳児期のみガラクトース除去ミルクを使用し、ガラクトースは生後6カ月以降正常域となった。1歳時にファロー四徴症の心内修復術を先行させ、体格の成長を待って2歳4か月時にCPSSをAmplatzer Vascular Plugとコイルで経カテーテル的に塞栓・閉鎖した。閉鎖前の門脈圧はSMAのバルーン閉塞テストで6-9mmHgだった。閉鎖後から血液検査データはすみやかに正常化した。【考察】CPSSは先天性心疾患を含む内臓奇形や、21トリソミーなど一部の遺伝子・染色体異常との合併が報告されているが、22qDSの合併報告は過去にない。双方の疾患の関連について、さらなる遺伝学的解析を計画している。血行動態異常や神経症状は22qDSとCPSSで重複・類似する部分がある。よく知られた先天異常においても非典型的な合併症を有することがあり、1つ1つの症例を丹念に精査・評価することが重要である。