[I-P2-4-10] 18トリソミーへの治療介入が在宅移行, 生命予後に及ぼす影響-石川県における検討-
Keywords:18trisomy, 在宅移行, 手術介入
【背景】18トリソミーは予後不良な染色体異常と認識されているが、近年では心臓手術を含む積極的介入により長期に生存した例や在宅移行が可能になった例が報告されている。しかしなから、社会的な要因や施設の医療水準などの様々な問題のため、本症の管理方針は同一県内でも施設間で大きく異なるのが現状である。石川県における3施設の症例を比較し、18トリソミーへの治療介入が在宅移行、生命予後に及ぼす影響に関して検討を行った。【対象と方法】2010年1月~2019年12月の10年間に石川県内の3施設で入院加療をおこなった18trisomyの22例を対象とした。各施設が調査票をもとに、患者背景や合併症、呼吸管理、外科的治療の有無、在宅移行の有無、在宅での医療的ケア内容、転帰などを診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】全例に先天性心疾患(VSD 15例、DORV 5例、SV 1例、TOF 1例)を認めた。在胎週数は36.6±3.4週、出生体重は1652±406gであった。1週間生存率 91%、1ヶ月生存率 71%、1年生存率 33%、在宅移行率 48%、生存期間 13.1ヶ月であった。気管挿管は 13 例(59%)、手術は12例(55%) で行われ、そのうち心臓手術は 5例(23%)で行われていた。心臓手術群、非手術群での比較検討では、生存月齢が心臓手術でより長かった(P<0.05)が、在宅移行に有意な差はなかった。在宅移行群、非移行群の比較検討では、在胎週数が長いこと、出生体重が大きいこと、非挿管例の方が、在宅移行率が高かった(P<0.05)。【考察】今回の検討から、18トリソミーに対す治療方針の違いにより、短期的生命予後や在宅移行率の差異を認めた。手術非介入でも在宅移行可能となる症例もあり、 個々の患児における児の最善の利益のため、医療者が家族の意思を汲み取り十分な情報提供を行った上で治療方針を決定していくことが重要である。そのためにさらなる症例の蓄積を行い、施設間での情報共有を行っていく必要がある。