[I-P2-4-09] 心筋症と先天性心疾患を合併した13番染色体部分トリソミーの兄弟例
Keywords:13染色体部分トリソミー, 心筋症, 先天性心疾患
【はじめに】 13トリソミーは先天性心疾患を高率に合併し、まれだが心筋症を合併する報告もある。13番染色体部分トリソミーの兄弟例を経験し、両児ともに先天性心疾患としてファロー(ファロー型両大血管右室起始症)を合併した。異なる経過で心筋症による重症心不全を認め、管理に難渋した。【症例1】4歳女児、胎児診断なく在胎39週、1969gで出生した。身体的特徴と先天性心疾患があり、染色体G分染で13番染色体部分トリソミー(46,XY,der(13)t(13;13)(p12;q14.1))の診断となった。ファロー四徴症の診断となり生後1ヶ月でBTシャント手術を行った。複数回の心不全入院をきたし、主たる原因は心筋症が疑われる右心機能低下、右心不全であった。β遮断薬とACE阻害薬による抗心不全療法を行い改善、1歳11ヶ月でVSDパッチ閉鎖、ラステリ手術(冠動脈走行異常のため)を行った。術後は心不全入院をきたすことなく、良好な経過である。【症例2】1歳5ヶ月男児、胎生期はファロー型両大血管右室起始症の胎児診断と合併奇形、前児の染色体核型から13番染色体部分トリソミーを疑った。在胎39週、2813gで出生、生後も同様の診断となった。生後1ヶ月でBTシャント、生後6ヶ月でVSDパッチ閉鎖、右室流出路形成、肺動脈形成を行った。術後経過は良好で退院したが、軽度低心機能で推移し、生後1歳3ヶ月で拡張型心筋症の診断となった。現在、静注強心薬併用で、抗心不全療法(β遮断薬とACE阻害薬)を行っている。欠損、重複している染色体領域には既知の拡張型心筋症責任遺伝子は含まれない。遺伝子検査を検討中である。【まとめ】本兄弟例は先天性心疾患を認めた13番染色体部分トリソミー兄弟例であったが、異なる経過で心筋症に伴う重症心不全を認めた。共通して構造異常や手術の影響で説明できない心機能障害を呈しており,心筋症は本染色体異常に伴うまれな表現型の可能性がある。