The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

染色体異常・遺伝子異常

ポスター発表(I-P2-7)
染色体異常・遺伝子異常 II

Thu. Jul 21, 2022 3:10 PM - 4:10 PM ポスター会場

座長:栗嶋 クララ(厚生労働省)
座長:永井 礼子(北海道大学病院 小児科)

[I-P2-7-03] 重症心不全により左室補助人工心臓の装着となったFilamin A(FLNA)遺伝子異常の12歳男児例

石垣 俊1, 石井 良1, 橋本 和久1, 廣瀬 将樹1, 江見 美杉1, 石田 秀和1, 成田 淳1, 平 将生2, 上野 高義2, 宮川 繁2, 大薗 恵一1 (1.大阪大学 大学院 医学系研究科 小児科, 2.大阪大学 大学院 医学系研究科 心臓血管外科)

Keywords:FLNA遺伝子, 重症心不全, 心臓移植

【背景】X染色体上に存在するFLNA遺伝子は脳室周囲結節性異所性灰白質(PVNH)の原因遺伝子として知られている。男児例は胎生致死か生存例も重度の凝固機能異常や心血管障害、心臓弁膜症を呈する。今回、FLNA遺伝子変異による重症心不全に対してLVAD装着した例を経験したため報告する。
【症例】12歳男児、生後、脳梁形成異常・ASD・TRを指摘。1歳時にTR、MRが顕在化し僧帽弁形成術、ASD閉鎖術を施行。2歳頃から心不全入院を繰り返しMRが徐々に増悪、8歳時に僧帽弁再形成術を施行。11歳時の心不全入院では内科的治療に抵抗性で、中等度以上の両大血管・両房室弁逆流を認めた。主因であったARに機械弁置換術を施行するも人工心肺離脱困難となりVA-ECMO装着。以降も心機能の改善なく心移植適応を含め病日27日に当院転院。転院当日にRota flowを用いた左心室心尖脱血・大動脈送血のLVADに変更すると共に大動脈弁に対し生体弁再置換術を施行。しかし右心不全も遷延しPR、TRに対し肺動脈弁置換術、三尖弁形成術を追加。右心への介入後も人工呼吸器から離脱はできず、病日66日に気管切開術を施行。関節の過可動性、皮膚の過伸展から結合組織異常を疑い、遺伝子検査を実施したところ、FLNA遺伝子の既知の変異c.387C>G(p.Ile129Met)を認め、血小板減少やPVNHの合併も診断に合致した。長期のうっ血性心不全による肝硬変と共に不可逆性腎不全による透析依存にあり、心移植適応外との判断に至り、緩和ケアに移行し病日276日に前医転院となった。
【考察】FLNA遺伝子異常に対しLVAD装着を経験したが多彩な臨床症状のため管理に難渋した。心臓移植適応を判定する上で全身性疾患を伴う病原性バリアントの検索は容易ではない。幼少期より多岐にわたる他臓器合併症を有しており、心臓移植において全エクソーム解析を含めた原因検索の重要性を再認識された。