[I-P2-7-06] 7q36欠失を認めたファロー四徴症、肺動脈閉鎖症の一例
Keywords:ファロー四徴症, 染色体異常, 7q36
背景:ファロー四徴症に伴う染色体異常は様々知られている。中でも7q36端部症候群は、欠失部位の大きさにより7q32端部欠失症候群の表現型を特徴とするが、7q36端部欠失にとどまる症例の報告は少なく、またファロー四徴症を合併した症例は報告がない。症例:児は在胎20週で水尿管、在胎22週で肺動脈狭窄症を指摘され、在胎34週にファロー四徴症を疑われ、産科外来で超音波検査、MRI検査を行い、染色体検査は行わずフォローされていた。在胎39週0日、体重2267g(-2.15SD)、身長42.1cm (-3.24SD)、頭部30cm(-2.35SD)、正常経腟分娩で出生した。出生後、鼻腔狭窄、咽頭狭窄、気管軟化に伴う呼吸窮迫を認め、挿管、人工呼吸器管理とし、ファロー四徴症、肺動脈閉鎖、左水腎症Grade4、巨大尿管の診断でプロスタグランジン製剤投与を開始した。外表的特徴として、狭い両耳側間距離、低下鼻中隔、足趾の皮膚性合趾を認め、Gband検査で7q36端部欠失が判明した。日齢27に左水腎症巨大尿管症に対し左腎瘻造設術、日齢42にBTシャント造設術を施行した。今後、頭部MRI検査、レノグラム検査、高精度分染法を予定している。考察:7q36欠失症候群は、全前脳胞症、歯列発育不全、仙骨の形成不全を特徴とする。特に7q36に存在するSHH遺伝子は腹側正中線に関連する臓器の形成に関与し、その異常は全前脳胞症の原因となる。加えてSHH遺伝子は血管形成にも関与することが知られており、特に神経外胚葉の心臓神経堤細胞が鰓弓へ遊走し大動脈肺動脈中隔を形成する際にSHH遺伝子が関連する可能性が示唆されている。本症例では、ファロー四徴症、肺動脈閉鎖を伴う7q36欠失症候群として、SHH遺伝子の異常が関連する可能性が考えられた。結論:ファロー四徴症、肺動脈閉鎖を伴う7q36欠失症候群の症例を経験した。その原因として7q36に存在するSHH遺伝子の異常が関連する可能性が示唆された。