[I-P2-7-05] 進行性の多発性末梢性肺動脈狭窄を呈したWilliams症候群の一例
Keywords:ウィリアムス症候群, 末梢肺動脈狭窄, 肺動脈分枝狭窄
【はじめに】末梢性肺動脈狭窄はWilliams症候群の心合併症として大動脈弁上狭窄に次いで頻度が高い。治療介入の報告はあるものの経時的に自然軽快する症例が多いことが知られている。年齢とともに増悪し、末梢性肺動脈分枝の高度狭窄および閉塞をきたした稀な症例を経験したので報告する。【症例】19歳男性。在胎32週、体重1220 gにて出生。生後8ヵ月に心雑音を指摘され、両側の末梢性肺動脈狭窄および大動脈弁上狭窄と診断された。特徴的な外表を有し、遺伝子検査にてWilliams症候群と診断された。生後11ヵ月に心臓カテーテル検査を施行。右室収縮期圧80 mmHg、右肺動脈収縮期圧15 mmHg、左肺動脈収縮期圧22 mmHgであった。左右肺血管床の分布は正常で、狭窄の首座は第一分枝より中枢の左右肺動脈にあると判断した。大動脈弁上狭窄については形態的な狭窄を有するものの圧較差は認められなかった。その後は心臓超音波検査での追跡を継続し、右室圧は著変なく経過した。14歳にフォローアップのカテーテル検査を施行。右室収縮期圧88 mmHg、右肺動脈収縮期圧30 mmHg、左肺動脈収縮期圧88 mmHgであり、左肺優位に肺動脈分枝の多発性の狭窄および閉塞を認め全体的に枯れ枝状を呈し、肺血管床は高度に減弱していた。肺血流シンチグラフィーでは、右肺88%、左肺12%の分布を示し左肺でびまん性に低下していた。左肺に対する治療介入は困難と考え、右肺動脈狭窄が進行する場合にバルーン拡大術あるいはステント留置を検討する方針で経過観察を継続している。【まとめ】Williams症候群に合併する末梢性肺動脈狭窄の多くは自然軽快すると報告されている。しかしながら本症例では年齢とともに末梢の肺動脈分枝の高度狭窄、閉塞に至った。Williams症候群において、このような経過をたどる可能性を念頭に置いた長期的なフォローアップが必要である。