[I-P3-2-09] 特発性てんかんで通院中に、ループレコーダーで診断されたQT延長症候群の男子
キーワード:QT延長症候群, 体外式ループレコーダー, てんかん
【背景】QT延長症候群(LQTS)は意識障害の原因となる。LQTSとてんかん合併例の報告はあるが、LQTSの失神発作とてんかん発作の鑑別は容易ではなく、診断プロセスに定まったものはない。【症例】12才の男児。特発性てんかんの診断で薬物治療中であったが、経過中に計8回の意識消失発作を反復していた。学校健診の心電図でQT延長を認めたため、循環器科へ受診となった。心電図検査では、QTcは527msecと先天性LQTSの診断基準を満たした。問診により、LQTSと診断を受けている親族が複数いることが判明した。また、意識消失発作が驚愕時に起こっていたことが確認できたため、発作の原因はてんかんではなくLQTSによるものを疑った。体外式ループレコーダーを用いた心電図解析でTdPによる意識障害と診断した。β-blocker内服後は、意識消失発作をきたすことなく経過しており、今後ICD装着の適応判断を行う予定である。【考察】今回、LQTSによる意識消失と診断したてんかん合併例を経験した。てんかん、LQTSの両疾患ともにイオンチャネルの異常が関与しており、両者の合併が報告されている。突然死をきたしたてんかん症例の死後遺伝子解析により、LQTSに関連する複数の遺伝子変異が確認されており、てんかん患者における突然死との関連性が示唆される。本例は、特発性てんかんの薬物治療中に健診の心電図異常でLQTSの診断に至った。遺伝子検索については、親族も含めて精査中である。てんかん患者で意識消失発作を反復する場合には、LQTS合併の有無を確認する必要があり、診断には詳細な問診と体外式ループレコーダーによる解析が有用であった。