[I-P3-4-06] 心臓移植の適応と判断した心筋症症例に対して、当院としてどう対応すべきか
Keywords:心筋症, 心臓移植, 補助人工心臓
【目的】当院紹介となる心筋症の症例には心臓移植の適応と判断するものも存在する。当院は心臓移植や補助人工心臓管理の対応施設でないため、こうした症例は当該施設の指示を仰ぐ必要がある。新病院移行後5年間の自験例から、今後の当施設としての対応策を検討した。
【方法】2017-2021年に心筋症と診断した症例のうち、二次性心筋症や遺伝性疾患を除いた13例に関して調査した。7例が他院に搬送し、残り6例は自施設内で治療を完結していた。この13例の当院管理中および転院後の状況を電子診療録で確認した。
【結果】搬送7例の内訳はDCM・LVNCが6例、RCM 1例であった。搬送後心臓移植適応判定を行った症例は判定まで平均1か月余であったが、当院で適応判定を依頼した症例は3か月を要した。ECMO搬送が必要となった症例もあり、また転院後1週間以内にLVADやEXCORの装着が必要となった症例も4例存在した。またDCM・LVNCの12例は搬送・非搬送6例ずつに分けられた。中央値で比較すると、搬送例では初期評価時点でLVDd 186.5%、EF 18.5%、非搬送例はLVDd 146.5%、EF 26.5%と、前者のほうが心拡大と心機能低下は重度であった。入院時のBNPは前者で4286、後者で6438.5とむしろ後者のほうが高かったが、約1か月後は前者で2002、後者で164と、非搬送例で大幅な低下がみられた。強心薬静注で急性期管理を行い、ACE阻害薬を開始したのちcarvedilolを追加し、強心薬を漸減していくのがこれまでの基本的な治療方針であった。carvedilolは両群とも概ね入院3週後に導入されていたが、搬送例ではその導入や増量に伴って心不全所見が悪化し、強心薬の再増量を余儀なくされることが多かった。
【結論】心筋症の治療に関して、当施設ではより早期の判断が求められる。初期評価で心拡大・心機能低下が著しく、carvedilolへの移行困難でBNPの低下が鈍い症例は特に他施設への紹介を念頭に置く必要がある。
【方法】2017-2021年に心筋症と診断した症例のうち、二次性心筋症や遺伝性疾患を除いた13例に関して調査した。7例が他院に搬送し、残り6例は自施設内で治療を完結していた。この13例の当院管理中および転院後の状況を電子診療録で確認した。
【結果】搬送7例の内訳はDCM・LVNCが6例、RCM 1例であった。搬送後心臓移植適応判定を行った症例は判定まで平均1か月余であったが、当院で適応判定を依頼した症例は3か月を要した。ECMO搬送が必要となった症例もあり、また転院後1週間以内にLVADやEXCORの装着が必要となった症例も4例存在した。またDCM・LVNCの12例は搬送・非搬送6例ずつに分けられた。中央値で比較すると、搬送例では初期評価時点でLVDd 186.5%、EF 18.5%、非搬送例はLVDd 146.5%、EF 26.5%と、前者のほうが心拡大と心機能低下は重度であった。入院時のBNPは前者で4286、後者で6438.5とむしろ後者のほうが高かったが、約1か月後は前者で2002、後者で164と、非搬送例で大幅な低下がみられた。強心薬静注で急性期管理を行い、ACE阻害薬を開始したのちcarvedilolを追加し、強心薬を漸減していくのがこれまでの基本的な治療方針であった。carvedilolは両群とも概ね入院3週後に導入されていたが、搬送例ではその導入や増量に伴って心不全所見が悪化し、強心薬の再増量を余儀なくされることが多かった。
【結論】心筋症の治療に関して、当施設ではより早期の判断が求められる。初期評価で心拡大・心機能低下が著しく、carvedilolへの移行困難でBNPの低下が鈍い症例は特に他施設への紹介を念頭に置く必要がある。