[I-P3-4-07] 植込み型補助人工心臓装着を行った小児6例の経過
Keywords:植込み型補助人工心臓, 重症心不全, 小児
【背景】2010年7月の臓器移植法改正後、臓器移植件数は増加傾向にある。しかし、日本の待機期間は長く、心臓では成人で平均1184.4日、小児で696日を要する。2021年11月末日における心臓移植待機者は927名に及び、内0~9歳49名、10~19歳55名と100名程を小児が占める。現在、およそ9割の患者が橋渡し治療として補助人工心臓(VAD)を利用している。2011年4月に植込み型VADが保険償還となった。植込み型VAD装着を行った小児6例について、術前の状態と植込み後の経過について報告する。【症例】 症例は装着時9~16歳の男児3例女児3例。診断は特発性拡張型心筋症3例、家族性拡張型心筋症、Becker型筋ジストロフィー、不整脈源性心筋症各1例。診断からVAD植込みまでの期間は1399±2251日。術前のECMO補助3例。INTERMACS profileは1.6±0.7であり、機種はHVAD4例、Jarvik2000、HeartMate-III各1例であった。周術期BiVADとなった症例が1例あったが、右心補助は3日で離脱可能であった。これまでのサポート期間は373±226日であり、5例が退院しており、退院までに要した期間は116±76日であった。1例が約8ヶ月で移植に到達、1例が心機能回復のため約1年で離脱、4例がサポート継続中である。心室頻拍頻回に対して再固定を行った症例はあったが、幸い脳出血・梗塞、創部感染等の合併症を生じた症例はなかった。遠隔地からの転院1例を除き、5例で植込み後の復学(院内学級含む)が可能であった。【結論】小児に対しても、VAD植込みを安全に行うことができた。合併症も少なく管理できており、体重20kg以上の小児重症心不全患者に対して、植込みVADは治療オプションになると考えられた。