[I-P3-4-08] VT/VF継続下LVADサポートのみで心臓移植に至った拡張型心筋症の一例
Keywords:拡張型心筋症, LVAD, 心臓移植
【背景】日本国内での小児に対する心臓移植はドナー不足により、数年以上の左心補助人工心臓(LVAD)による待機を必要としている。長期の補助人工心臓待機期間で感染、大動脈弁閉鎖不全、右心不全、不整脈等の問題が起こりうるが、今回我々はLVAD装着後難治性のVT/VFが起こったもののLVADサポートのみで心臓移植に到達した症例を経験したので報告する。
【症例】9歳男児。7歳時に腹痛、嘔吐、呼吸障害を主訴に他院受診。心エコーで心機能低下を認め、当院PICUへ搬送された。心エコーではLVEF 13%で、人工呼吸器管理、カテコラミンサポートを開始したがVTが頻発、心機能も改善を認めず、経過から急性心筋炎ではなく拡張型心筋症(DCM)と診断した。搬送後8日目にEXCORのカニュラを使用したRota FlowによるLVAD装着術を施行、搬送後10日目にRota FlowからEXCOR(30ml)へのポンプ交換を施行した。LVAD装着後も散発性にVTを認め、ソタコール、メキシレチン、ビソプロロールフマル酸塩の内服加療を行った。LVAD装着後340日目VTが継続したため、除細動を施行し洞調律へ復帰、アミオダロン等の抗不整脈薬を追加したが、VTが頻発し合計12回の除細動を行った。血行動態的に大きな問題を認めなかったため抗不整脈薬は中止。LVAD装着後600日目頃からはほぼVT、VFへ移行し、心エコー上ほぼ心静止状態となった。総ビリルビンは2台が4台へ上昇する等肝障害を認めたが、循環は維持し、LVAD装着後716日目に国内で心臓移植を施行することができた。
【考察】長期の補助人工心臓管理において、右心不全に対して両心室補助(BiVAD)が考慮されることもあるが、その手術適応には苦慮することも多い。今回の我々の症例ではVT/VFによる心静止の状態でもLVADサポートのみで心臓移植に到達することが可能であった。より長期的にこのような管理ができるかどうかは不明であるが、肝障害等の経過を注意深く観察しながら管理していくことが重要と考えられる。
【症例】9歳男児。7歳時に腹痛、嘔吐、呼吸障害を主訴に他院受診。心エコーで心機能低下を認め、当院PICUへ搬送された。心エコーではLVEF 13%で、人工呼吸器管理、カテコラミンサポートを開始したがVTが頻発、心機能も改善を認めず、経過から急性心筋炎ではなく拡張型心筋症(DCM)と診断した。搬送後8日目にEXCORのカニュラを使用したRota FlowによるLVAD装着術を施行、搬送後10日目にRota FlowからEXCOR(30ml)へのポンプ交換を施行した。LVAD装着後も散発性にVTを認め、ソタコール、メキシレチン、ビソプロロールフマル酸塩の内服加療を行った。LVAD装着後340日目VTが継続したため、除細動を施行し洞調律へ復帰、アミオダロン等の抗不整脈薬を追加したが、VTが頻発し合計12回の除細動を行った。血行動態的に大きな問題を認めなかったため抗不整脈薬は中止。LVAD装着後600日目頃からはほぼVT、VFへ移行し、心エコー上ほぼ心静止状態となった。総ビリルビンは2台が4台へ上昇する等肝障害を認めたが、循環は維持し、LVAD装着後716日目に国内で心臓移植を施行することができた。
【考察】長期の補助人工心臓管理において、右心不全に対して両心室補助(BiVAD)が考慮されることもあるが、その手術適応には苦慮することも多い。今回の我々の症例ではVT/VFによる心静止の状態でもLVADサポートのみで心臓移植に到達することが可能であった。より長期的にこのような管理ができるかどうかは不明であるが、肝障害等の経過を注意深く観察しながら管理していくことが重要と考えられる。