[I-P3-7-02] 完全型心内膜症欠損症における術後再手術のリスクの検討
Keywords:完全型房室中隔欠損症, Trisomy 21, 共通房室弁
【背景】cAVSD修復術後の早期死亡率は、時代とともに改善傾向だが、再手術は依然として問題であり、Trisomy 21でないことや、術前に肺動脈絞扼術(pulmonary artery banding; PAB)の既往が再手術のリスクであるとの報告がある。【目的】cAVSD治療成績の検討及び再手術に関わる術前リスクの調査。【方法】2004年4月から2021年12月にcAVSDに対して修復術を行った114名に関して、累積生存率及び再手術回避率を後方視的に検討した。【結果】手術時月齢中央値は、4.3ヶ月(1.0-421.6)、体重中央値は4.0kg(2.6-11.0)。全例2 patch techniqueを施行。Trisomy 21は87例(76.3%)で、房室弁形態は、Rastelli Aが62例(54.4%)、Bが2例(1.8%)、Cが50例(43.8%)。術前房室弁逆流moderate以上は16例(14.0%)。観察期間中央値は4.7年(0.006-16.3年)。累積生存率は、1年では98.1%、3年では98.1%、5年では98.1%。術後30日以内の死亡は1例で、術後高度MRから弁置換を行うも心機能が回復せずに死亡。遠隔期死亡は2例で、1例は窒息、1例は術後高度TR及びMRに対する弁形成術後、心機能が回復せず死亡。再手術回避率は、1年では93.5%、3年では89.9%、5年では89.9%で、房室弁に対する介入が7例、SASに対する介入が3例、TRとSASへの同時介入が1例、ペースメーカー植込みが5例、肺動脈閉鎖合併症例での右室-肺動脈導管のサイズアップが1例。PABの既往や月齢3未満での手術、術前中等度以上の房室弁逆流、共通房室弁のRastelli typeによる死亡率や再手術回避率の差は認めず、Trisomy 21の患児において、弁に対する再介入が有意に低かった(HR 0.14, CI 0.019-0.959; P=0.045)。【考察】Trisomy 21では弁に対する再介入が有意に低かったが、共通房室弁のRastelli typeには寄らず、弁自体の形態学的な差異が影響を及ぼしているものと考えられた。【結論】Trisomy 21でない患児の場合、弁形成に難渋する可能性があり、より慎重な弁の評価が肝要と思われる。