[I-PD01-06] QT延長症候群8型におけるメキシレチンのQT短縮および不整脈抑制効果
Keywords:QT延長症候群, メキシレチン, torsades de pointes
【背景】QT延長症候群(LQTS)8型(LQT8)は、CACNA1C遺伝子変異によるL型Caチャネルの機能獲得変化が原因で、特に心外合併症を伴う場合、Timothy症候群と呼ばれる。近年、Naチャネルの機能獲得変化が原因となるLQTS 3型に限らず、2型においてもNaチャネル遮断薬であるメキシレチンの有効性が示されているが、LQT8での有効性は十分には明らかにされていない。【目的】LQT8症例でのメキシレチンの有効性を検討する。【方法】LQT8と遺伝子診断された4家系5例(女児2例)を対象として、メキシレチン静注による心電図変化、その後の治療効果を検討した。【結果】メキシレチン静注は、新生児期に3例、学童期に3例行った。このうち1例のみ新生児期と学童期に施行した。学童1例は、施行時にナドロール内服をしていた。また、新生児1例、学童1例でtorsades de pointes (TdP) の既往があった。新生児期に施行した3例における補正QT時間は、メキシレチン投与前後で、前481/後479ms、689/714ms、600/601msであり、QT時間の短縮は明らかではなかった。しかし学童期に施行した3例では、前521/後456ms、691/556ms、568/532msと平均78msの短縮を認めた。また、新生児期にT wave alternance (TWA) が持続していた症例では、メキシレチン静注によりTWAの速やかな消失を認めた。さらに、TdPの既往のある学童1例、新生児1例、TWAの消失した新生児1例において、メキシレチン静注あるいは内服を継続した。いずれの症例でも、メキシレチンによりTdPの抑制が得られた。ただし、学童例では、怠薬によりTdPの再発を複数回認めた。【結論】メキレチンは、LQT8において、新生児期以外でQT短縮効果を、全年齢で致死的不整脈の抑制効果を示す有効な治療薬であると考えられる。