[I-PD04-05] 先天性心疾患児の房室弁形成術における経心膜3次元エコーの活用-成績向上に向けた当院での取り組み-
Keywords:経心膜3次元エコー, 房室弁形成, 先天性心疾患
【背景】先天性心疾患の房室弁逆流は児の予後に多大な影響を与える。小児では、経胸壁・経食道心エコーのみでの弁形態及び病態の評価は空間・時間分解能等の点から限界がある。当院では術中に経心膜エコーを用いた3次元の房室弁評価を行い、術者により正確な情報を提供し弁形成術の成績向上を図っている。【目的】先天性心疾患児の房室弁形成における経心膜3次元エコーの具体的な評価方法と成績を報告する。【方法】対象は3弁以上の複雑な弁形態患者や複雑性先天性心疾患での房室弁形成である。エコーはEpic 7のS12-4MHz及びX7-2MHz probeを用いる(Philips medical systems Inc. Andover, MA, USA)。心膜が切開され心臓が露出した時点で、小児循環器医1名が清潔野で経心膜エコーを実施する。手順は<1> S12-4MHzで二次元評価(カラー含め)を行う。<2>X7-2MHzでxPlaneおよび3D volume data(息止め+ 6 beats)を得る。<3>on boardでの3D modelの作成(surgeon’s view)。<4>術者へのpresentation。<5>詳細な術式を再考する。以上全過程を約20-30分程度で終了する。また、当院で1993-2021年に施行した複雑な房室弁形成術の成績を後方視的に解析した。合計82例の内、術中経心膜エコー(IPE)群52例および、経胸壁・食道心エコーのみを用いた(C)群30例の2群で術前後の逆流改善を比較検討した。【結果】IPE群は全例手技中の有害事象は無かった。形成部位は僧帽弁19例・三尖弁24例・共通房室弁9例で、経心膜エコーを行った73%に術前評価と所見の違いを認めた。術後の逆流改善はIPE群で有意に高く、房室弁逆流の改善に寄与する独立因子は多変量解析で経心膜エコーの使用のみであった(OR:3.75, p<0.05)。【結語】術中の経心膜3次元エコー評価は、先天性心疾患児の房室弁形成成績の改善に寄与し得る。