[I-SY02-05] 新たな胎児心疾患スクリーニング法としての流出路角と大動脈弓角
キーワード:大血管転位, 流出路角, 大動脈弓角
【目的】胎児心疾患一次スクリーニング(レベル1)の更なる精度向上のため流出路異常に焦点を当て、四腔断面、3-vessel断面、大動脈弓断面の3断面を使用した簡易スクリーニング法を開発することを目的とした。【方法】2012-2021年に胎児心エコー図検査を実施した214例中、単心室疾患(n=47)を除外した167例を対象とした。胎児四腔断面像で心室中隔長軸と肺動脈-大動脈の中央点を結合した3-vessel軸の角度を流出路角、心室中隔軸と大動脈弓部の角度を大動脈弓角として、正常大血管位群、流出路異常群、大血管転位群の3疾患群で比較検討した。【結果】正常大血管群(正常n=70、心室中隔欠損n=14、Ebstein類縁疾患n=11、肺静脈還流異常n=4、大動脈弁狭窄n=4、房室中隔欠損 n=2、その他n=8)、流出路異常群(Fallot四徴症n=29、両大血管右室起始13例、純型肺動脈閉鎖n=5、総動脈幹症n=2)、大血管転位群(完全大血管転位n=2、修正大血管転位n=2、両大血管右室起始n=1)であった。各群において流出路角[17°(5─29) vs 25°(11─43) vs 109°(70─127), P<0.001]および大動脈弓角[106°(93─117) vs 74°(61─90) vs 142°(139─160),P<0.001]の有意差を認めた。流出路角≧70度で大血管転位(感度80%、特異度 99%)を、大動脈弓角≦95度で流出路異常(感度88%、特異度73%)を抽出可能であった。【結語】胎児心疾患一次スクリーニング(レベル1)において流出路角および大動脈弓角の評価は簡便かつ有効な方法である。