The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

シンポジウム03(I-SY03)
働き方改革セッション

医師の働き方改革2024年問題に向けて

Thu. Jul 21, 2022 8:40 AM - 9:40 AM 第3会場 (大ホールC)

座長:猪飼 秋夫(静岡県立こども病院 心臓血管外科)
座長:佐藤 誠一(沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 循環器小児科)

[I-SY03-04] 小児循環器領域のタスクシフト~小児心臓超音波検査におけるタスクシェアリング

齋木 宏文1, 嘉村 幸恵2, 小山 耕太郎1,3 (1.岩手医科大学 医学部 小児科学講座, 2.岩手医科大学附属病院 中央臨床検査部, 3.みちのく療育園メディカルセンター)

Keywords:先天性心疾患, タスクシフト, 働き方改革

【背景】永続的かつ安全な医療体制には多職種によるタスクシェアが必須である。本邦では、小児心臓超音波検査は医師が担当することも多いが、北米では専門技師が明瞭な画像描出に、医師は読影に特化し質を担保する。本学では小児に特化した検査技師が心臓超音波検査を担当することを原則とし、得られる鮮明かつ再現性の高い画像は診断・周術期検査に有用なだけでなく、体系化されたデータベースとして役立っている。本学における小児心臓超音波検査の経緯について共有する。【方法】本学における小児心臓超音波検査のタスクシェアリングは、小児循環器医師側からは撮り漏れのない明瞭な画像データベースの確立、技師側からは専門性を先天性心疾患に広げることを目的に進められてきた。2008年以降画像診断データベースが確立され、本年で15年目を迎える。この間の心臓超音波検査を後方視的に総括し、タスクシフトの経緯を解析した。【結果】小児心臓超音波検査件数(NICUを除く)は2009年967件から2021年1732件に増加し、技師検査割合は2009年52%から2020年76%に増加した。外来の技師検査の割合は概ね80-90%で推移したのに対し、入院では2009年の13%から次第に増加し、2020年には46%となった。検査年齢は医師中央値1.6歳、技師中央値10.2歳であり、解析期間を通じて、16歳以上の90%前後が技師検査の対象となっていた。一方、3歳未満に対する技師検査は、2009年は21%であったが、2020年には55% (技師検査全体の約20%に該当)に増加し、鎮静を要する年齢層の技師検査の割合が飛躍的に増加した。【結論】小児心臓超音波検査のタスクシフトは対象症例を外来から入院、学童期から乳幼児期と適応拡大する形で進行した。詳細な解剖学的情報と過去の超音波画像を有機的に結びつけられるデータベースを介し、診断・治療に必要とする画像の認識を共有できたことが、検査の質向上とタスクシフトの両立に寄与したと考えられる。