[I-SY03-05] 救命センター病院長から見た「医師の働き方改革」
Keywords:自己研鑽, タスクシフティング, 持続可能医療提供体制
令和4年度診療報酬改定の基本認識として、人口減少と高齢化がピークに達する2040年問題は大きく、三位一体改革の1つとして「医師の働き方改革」がとりあげられた。「医師の働き方改革」の骨子は、安心・安全で質の高い医療のために、医療従事者の高い専門性を十分に発揮するための勤務環境の改善を意図したものである。
医師の勤務時間は労働時間と自己研鑽の時間に分類し、前者の労働時間短縮を目的としている。自己研鑽とは業務上義務づけられていない、自主的な勉強、執筆、臨床研究/経験などを意味するが、労働時間との判別が困難なこともある。
医師の労働時間短縮は医師のみで解決できず、国民の受診行動の適正化や、コメディカルの協力支援によるタスクシフティングは欠かせない。タスクシフティングのために、医師事務充足、看護師への特定行為研修推進や診療看護師育成は必須となる。看護補助者の配置も加算にも繋がる。国立病院機構の病院ではJNPを教育育成し、救命救急科、麻酔科や循環器内科などで勤務することで、大きなタスクシフティングが果たせている。医師と看護師の架け橋として機能しているが、国家資格では無く医療行為に対する責任は医師にある。職位の国家資格が望まれる。
2024年から始まる医師の働き方改革ではあるが、当院のような急性期充実体制加算を申請する病院においては、地域の医療を第一に考えた体制を確保する必要があり、大学からの医師派遣の観点から他院とのバランスは重要で、無尽蔵に医師数を増加することは不可能である。医師個人の専門技術の習得や研修医の医療技術の経験蓄積などの観点にも考慮し、最終的には2036年までに目標を完遂する実現可能な計画案が示せれば、問題とはならないことも理解しておく必要がある。