[I-SY05-02] ARVCと診断された児の学校心電図の特徴
Keywords:心電図, 不整脈原性右室心筋症, 学校検診
不整脈原性右室心筋症 (ARVC)は右室優位の心筋症で、主にデスモゾームに異常を来すものとされていて、約60%にデスモゾームの5つの遺伝子変異が認められる。ARVCの疾患概念は変化しているが、現在でも診断に用いられる2010年Task Force Criteria (TFC)はその変化に対応しておらず、主に二つの疾患群、左室優位の表現型をもつものや、小児患者の診断に適していない。ARVCでは、競技スポーツ活動が疾患発現・心室頻拍 (VT)/心室細動 (VF)発症を促進する。小児期発症は稀で、確定診断は15歳前後となる。小児期発症ARVCは、成人より致死性イベントが多く、激しい運動の影響をより強くうけ、VT危険因子は男性, V1-V3のT wave inversion (TWI)、心室性期外収縮 (PVC)の頻度、非持続性VT、両心室収縮低下と報告されている。ARVCの進行度は、concealed stage, electrical stage, structural stageにわけられる。Concealed stageでの同定は不可能で、心電図やホルター心電図での異常がみられるElectrical stageがstructural stageより先行する。学校検診はElectrical stageでの判断となる。学校心臓検診の役割は、VT/VFを防ぐのみならず、運動による疾患進行抑制であり、早期発見・早期の激しい運動の制限が求められる。本邦からの小児・思春期ARVCの心電図所見の2つの報告から、二次精検後の注目すべき所見としては、2010 TFCの心電図所見に加えて、安静時心電図のII, aVF, V3, V4のTWI、T wave discontinuity、V1のNotched S wave、Terminal activation duration (TAD) >55 ms、Follow-up中のTAD延長、左脚ブロックパターン・上方軸のPVC、運動誘発性または抑制されないPVCがあげられる。これらの所見が、ARVCの早期診断、benign PVCとの鑑別に有用であると考える。