第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム05(I-SY05)
学校心臓検診のさらなる発展のために

2022年7月21日(木) 14:00 〜 15:30 第3会場 (大ホールC)

座長:太田 邦雄(金沢大学大学院医学系研究科 小児科学)
座長:芳本 潤(静岡県立こども病院 不整脈内科)

[I-SY05-03] 無症候性PVCのその後の経過を予測する

泉 岳 (北海道大学 小児科)

キーワード:学校心臓検診, 無症候性PVC, PVC頻度

[背景]小児期の無症候性心室期外収縮(PVC)は経時的に消失することが多いが、残存することもあり、その予測指標は不明である。[方法]当院に通院歴があり未治療のPVC患者の初回ホルター心電図結果の各指標(性別、年齢、PVC頻度、PVC起源(RVIN/RVOT/LVIN/LVOT, 中隔/自由壁)、PVC直前3心拍の平均RR最小値(RRmin)・最大値(RRmax)、RRminとRRmaxの差(RRrange)、直前QRSとPVCの連結時間最小値(CTmin)、最大値(CTmax)、CTminとCTmaxの差(CTrange), PVC連発の有無)が、その後のPVC頻度を予測しうるか検討した。[結果]対象は194(男児101)名で初回ホルター年齢は平均10.6(0.0-18.8)歳、PVC頻度平均5.22(0.01-73.62)%、PVC起源(RVIN 39/RVOT 72/LVIN 39/LVOT 43, 中隔 97/自由壁97)名、RRmin平均 660(280-1720)ms, RRmax 936(480-1880)ms, RRrange 273(0-1400)ms、CT min 457(240-1120)ms, CT max 633(360-1600)ms, CTrange173(0-1320)ms、PVC連発は14例(7.2%)であった。フォローアップ期間は平均3.1(0.3-7.4)年、最終ホルターのPVC頻度は3.99(0-36.38)%であった。最終ホルターのPVC頻度と相関関係があったのは初回ホルターPVC頻度(r2=0.412)とRRrange(r2=0.461)であった。多変量解析ではRRrangeが最終ホルターのPVC頻度10%/日以上を予測する唯一の独立因子であり、RRrange 600msをカットオフ値としてAUC 0.920であった。[考察]幅広いRRrangeは、triggerred activityとしてのPVCが幅広いHRで生じやすいことを示しており、長期にPVC残存例を抽出する指標となる。