第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム06(I-SY06)
小児期発症の特発性及び遺伝性肺動脈性肺高血圧症の長期生存例に対するトータルケア

2022年7月21日(木) 15:40 〜 17:10 第3会場 (大ホールC)

座長:石田 秀和(大阪大学医学系研究科 小児科)
座長:高月 晋一(東邦大学医療センター大森病院 小児科)

[I-SY06-04] 小児期発症の特発性・遺伝性肺動脈性肺高血圧患者の留置カテーテルに対する多領域からの管理

岩朝 徹, 坂口 平馬, 大内 秀雄, 白石 公, 黒嵜 健一 (国立循環器病研究センター小児循環器内科)

キーワード:特発性肺動脈性肺高血圧, カテーテル感染, 留置カテーテル

小児期に発症する特発性・遺伝性肺動脈性肺高血圧(IPAH/HPAH)患者は1990年台までは「治療法がなく、2年で半数が死亡する」極めて厳しい疾患であったが、ここ20年の特異的治療の開発により、10年以上生存し成人期に達することは珍しいことではなくなっている。当科で管理中及び内科(肺循環科)へ移行したIPAH/HPAH患者21名中10名(45%)がエポプロステノール持続静注療法を導入しており、18歳以上になると13名中9名(70%)が導入しているが、カテーテルトラブルで入退院を反復する患者では進学や就職に大きな影響を及ぼしており、長期生存患者で導入の多い留置カテーテルを「いかに良好な状態に導入して維持するか」が患者のQOLを左右する。 当センターでは2015年頃から小児のBroviac/Hickmanカテーテル留置前、留置時、留置後に褥瘡排泄ケア専門看護師が介入し、カテーテルでの感染・事故抜去トラブルは減少している。具体的にはこれまで全て留置する医師と病棟看護師任せであった、留置前の皮膚状態の管理による改善、生活活動・発達を加味した皮下トンネルの位置決定、留置直後~初回退院までのケアと本人家族への指導、退院後のフォロー及び訪問看護師との連携を行っている。一方でカテーテル管理が改善した結果、長期使用カテーテルの経年劣化や患者体格の変化での感染以外でのトラブル(カテーテルの自然断裂、自然閉塞等)も経験するようになっており、小児心臓外科との連携での対処や、また閉塞予防の指導も近年行っている。 今回は当科及び当センター褥瘡排泄ケア専門看護師の介入管理について、成功及びトラブル事例を含めて紹介し、ご意見を賜れれば幸いである。