The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

会長要望セッション

会長要望セッション3(I-YB03)
Blalock-Taussigシャントと動脈管ステントの将来

Thu. Jul 21, 2022 8:40 AM - 10:10 AM 第5会場 (中ホールB)

座長:松久 弘典(兵庫県立こども病院 心臓血管外科)
座長:矢崎 諭(榊原記念病院 小児循環器科)

[I-YB03-03] 動脈管依存性肺循環の先天性心疾患に対するアプローチ ~動脈管ステントとBlalock-Taussig shuntの比較

渋谷 茜1, 金 成海1, 石垣 瑞彦1, 佐藤 慶介1, 芳本 潤1, 満下 紀恵1, 新居 正基1, 猪飼 秋夫2, 坂本 喜三郎2, 田中 靖彦1,2 (1.静岡県立こども病院 循環器科, 2.静岡県立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:動脈管依存性肺循環, Blalock-Taussig短絡術, 動脈管ステント留置術

【背景】動脈管依存性肺循環の先天性心疾患(CHD-DPC)に対する姑息的治療は, 本邦ではBlalock-Taussig短絡術(BTS)が主流であり動脈管ステント留置術(DS)は少数である. 【目的および対象】2007年~ 2022年の12年間でCHD-DPCに対しDSを行った5例とBTSを行った69例を後方視的に検討比較した. DSの内訳は心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖(PA/IVS), 肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症(PA/VSD), 完全大血管転位・肺動脈弁狭窄(TGA/PS)が各1例, 両大血管右室起始・肺動脈閉鎖(DORV/PA)が2例であった. 左前下行枝離断を伴う著明な類洞交通, 遺伝性疾患に伴う多発形成異常, 不安定な肺動脈順行性血流の存在, 重度気管気管支軟化症と慢性肺疾患(CLD)に伴う肺高血圧といった, 従来のBTSで周術期リスクが高い症例をDSの適応とした. 【結果】DSは全症例で成功し重篤な合併症を認めなかった. PA/IVS, TGA/PSで直後に高肺血流性心不全のため内科的治療を要し, 1ヶ月後にはステント狭小化のためそれぞれステント内再留置を行った. PA/IVSの例ではステント再留置後に著明な高肺血流性心不全を呈し, 早期の両方向性グレン手術で対応した. BTS群69例(Norwood手術や主要体肺側副動脈統合術等の併施を除く)の周術期合併症は20例(29.0%)であり, 内訳はシャント閉塞, 縦隔洞炎, 反回神経麻痺, 高肺血流性ショック, 体外式膜型人工肺による蘇生事象, 乳糜胸, 心筋梗塞などであった. 術後90日以内の死亡は3症例(4.3%)であった. DSの予後に関してPA/IVSはフォンタン型手術に到達し, PA/VSDとTGA/PSはいずれもラステリ手術に到達した. 18トリソミーに伴ったDORV/PAでは在宅移行が可能となり, 呼吸障害に伴う肺高血圧のDORV/PAは気管切開のため前医へ転院した.【結論】血行動態や基礎疾患から周術期リスクが高い症例に対する初回姑息術として, DSは有効な選択肢と考えられる. 今後BTS代替としてのDS適応拡大についてさらなる検討が必要である.