[II-OR13-03] Fontan循環に対するEXCOR導入時の工夫
キーワード:Fontan, EXCOR, LVAD
小児の体外式補助循環としてEXCORが導入され、心移植までの長期間の待機期間が問題視されているとはいえ低心機能の小児患者に対する最後の手段として安定した成績が報告されている。しかし単心室症候群に対するEXCOR導入はいまだに良好な成績を収めているとは言えず課題の残る分野である。今回我々はFontan循環で心室機能不全に陥った患児に対してEXCORを導入して安定した経過をたどった症例を経験したのでEXCOR導入時の工夫、導入後管理の工夫を考察し検討症例とし提示する。症例は7歳男児。僧帽弁狭窄、心室中隔欠損、三尖弁両室挿入で2心室修復困難症例であり前医にて段階的治療戦略を経てFontan手術が行われた。しかしFontan手術術後遠隔期に心室機能が著しく低下し、EF7%と重度の心不全に陥った。肺うっ血、静脈圧亢進が進みDoA 5、DoB 10ug/kg/minの薬物治療中であっても胸腹水が1日1000ml以上排出される状態が継続し、EXCOR、心移植の適応を認めた。当院に転院しEXCORの導入の方針となった。しかし患児の両心室が著明に拡大し左室心尖は後方に偏移する形となったために脱血カニューラの挿入に戦略が必要となった。戦略としては1,左室心尖用カニューラを用いて刺入部位の角度を注意しながら左室に挿入 2,前面にある右室に心尖用カニューラを挿入 3,角度のついた心房脱血用カニューラを右室に挿入 4,心房脱血用カニューラを心房に挿入 等を検討しつつ導入に至った。術後もFontan循環の維持に工夫を要したが術後3日目に人工呼吸器を離脱しその後も順調に経過していった。EXCOR導入後5ヵ月の現在は静脈ライン、経管栄養、酸素投与すべて離脱しリハビリを行っている。順調に経過した要因を考察、検討し提示する。