[II-OR14-02] コロナ禍における先天性心疾患児の母親の育児ストレスの現状
Keywords:先天性心疾患, 母親, 育児ストレス
【背景】先天性心疾患 (CHD)児の母親は暮らしの中で様々な苦悩を感じ、健常児の母親よりも育児ストレスが高く、不眠になる人が多い。一方で母親には、児の成長と栄養、発達、身体活動などにおいて包括的な個別指導の能力が求められている。また、コロナ禍の影響で育児ストレスを高めていることが予測される。【目的】CHD児の母親の育児ストレスを調査し、その育児ストレスの傾向から今後の支援について検討する。【方法】島根大学医学部附属病院小児科外来に受診歴のある0~6歳のCHD児の母親を対象に、育児ストレス(PSI-SF:19項目、5件法)、遊びやソーシャルサポート状況などの無記名自記式調査を郵送法で実施した(郵送時期2020年6月)。分析は、IBM SPSS Statistics 25を用い、記述統計およびPSI-SFを従属変数とした重回帰分析を行った。【結果】198名に調査票を配布し128名から回収した(回収率64.7%、有効回答数118名)。CHD児の年齢中央値は42.5か月、CHDの内訳はVSD:51例、TOF: 12例、ASD :11例の順で多かった。2015年の先行研究との比較では、総合点は変わらなかったが、子どもの特徴に関するストレスは低く、親のパーソナリティーに関するストレスは2歳と6歳で特に高かった。また、子育てを共に分かち合える人の存在(P=0.005)と、子育ての大変さを理解する人の存在(P=0.024)が育児ストレスに影響していた。【まとめ】2歳と6歳の母親の育児ストレスが高く、2歳は行動や自己表現の幅が広がり、母親は子どもの発達課題が気になる様になり、また6歳は就学に伴う母親の不安が高まる時期と考えられた。子育てに関する共感者や理解者の存在が育児ストレスを軽減させており、育児ストレス緩和には、母親を身近で支える支援者の存在を確認し、適切なサポート体制の構築が必要である。