The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

多領域

一般口演14(II-OR14)
多領域 Ⅰ

Fri. Jul 22, 2022 4:40 PM - 5:30 PM 第5会場 (中ホールB)

座長:片岡 功一(広島市立広島市民病院循環器 小児科)
座長:宮本 朋幸(横須賀市立うわまち病院 小児医療センター小児科)

[II-OR14-03] 体外設置式補助人工心臓装着中の乳児の発達促進に向けた座位保持獲得への援助

大久保 茉央1, 青木 雅子2 (1.東京女子医科大学病院 看護部, 2.東京女子医科大学 看護学部)

Keywords:EXCOR, 乳児, 発達促進

【背景】心臓移植待機中の子どもにおいて、体外設置式補助人工心臓(EXCOR)の補助は、安全に長期間の待機が期待できる反面、感染やカニューレトラブル予防のため体動が制限される。乳児期は成長発達が著しく基本的生活習慣獲得の時期であるため、EXCOR装着による発達への影響は大きい。生活の拡大に向けて重要な座位保持獲得を目指した援助を振り返り、支援への示唆を得る。【対象】1歳女児Aちゃん。生後1か月で緻密化障害発症、3か月でEXCOR装着し、8か月から椅子使用による座位練習が始まった。本稿は所属の倫理審査委員会の承認を得た。【結果】座位はメンブレンがあるため市販の椅子では難しく、理学療法士(PT)がAちゃん専用の椅子を作成した。座位開始後は医師とカニューレ貫通部トラブルの有無を確認しながら、座位時間、背部角度の許容範囲を調整し進めた。移乗は安全面から複数の援助者が必要なため、移動方法と座位のポイントをPTと共にマニュアル化し、日常的に子どものタイミングに合わせて練習できるよう両親とスタッフで共有した。Aちゃんは長期間臥床による未定頸、筋力不足、不慣れな体勢のため啼泣し、メンブレンの拡張・収縮不全を起こしやすかった。座位保持に慣れることを目的に、端座位練習に加えて椅子座位での離乳食摂取の工夫を継続し、安定した座位保持が獲得できた。座位保持獲得により、運動発達促進のみならず遊びの発達も促され、室外散歩や他患児との交流を図ることが可能となり、社会面情緒面の発達にもつながった。【考察】EXCOR装着による発達・生活への影響を適時適切にアセスメントし、発達促進のための補助用具作成やチーム間共有の実践など個別性の高い支援環境を整えることが重要である。看護師は、子ども・家族中心のチーム医療において、各分野の専門性が最大限に発揮でき、子どもにとっての最善が保障されるようチームのコーディネーターとして働きかける必要もあると考える。