The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

心不全・心移植

一般口演18(II-OR18)
心不全・心移植 Ⅱ

Fri. Jul 22, 2022 10:30 AM - 11:20 AM 第6会場 (小ホール)

座長:賀藤 均(賛育会病院)
座長:小林 俊樹(埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)

[II-OR18-01] EXCOR®長期管理における送脱血管損傷への対応

戸田 紘一1,3, 枡岡 歩2,3, 細田 隆介2, 永瀬 晴啓2, 鍋嶋 泰典1, 小島 拓朗1, 保土田 健太郎2, 葭葉 茂樹1, 小林 俊樹1,3, 住友 直方1, 鈴木 孝明2,3 (1.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科, 2.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓外科, 3.埼玉医科大学国際医療センター 重症心不全・心臓移植センター)

Keywords:EXCOR, 送脱血管損傷, 待機期間

【緒言】本邦では心臓移植ドナーが少ないが、近年COVID-19の流行もあり、EXCOR®での待期がさらに長期となり予期せぬ合併症も認め始めている。EXCOR®の送脱血管損傷を3例に経験したので報告する。【対象】2016年11月より現在までにEXCOR®を装着した8例(装着時平均年齢3.4歳:月齢2ヶ月-8歳、平均体重10.2kg:4.1kg-16.5kg)を対象とした。拡張型心筋症3例、左室心筋緻密化障害2例、慢性心筋炎1例、完全型房室中隔欠損術後1例、Fontan術後1例で、pump sizeは10ml:2例、15ml:3例、25ml:3例、渡航移植1例、国内移植2例、VAD離脱1例、死亡1例、補助継続中3例である。【結果】送血管損傷を2例、脱血管損傷を1例認めた。送血管損傷の症例は2例(同一症例)で、6mm→9mm送脱血管へコネクティングキットを用いたsize up後、6mm送血管の損傷を認めた。1回目の損傷後、送脱血管が屈曲しないよう対策したが再発したため、2回目の損傷後、屈曲防止策を強化した。脱血管損傷は待機期間3年の症例で、体動時に突然の意識消失・顔色不良・脈拍触知なしでCPRを開始したが、ポンプ内への空気混入が判明し、送脱血管をクランプしてCPR継続しながらポンプ交換を実施した。交換後も著しい脱血不良が続き、空気塞栓による多発脳梗塞・多臓器不全を呈し永眠した。【考察】脱血管損傷は即座に多発空気塞栓による多臓器不全を呈し致命傷になる。送血管損傷の対応は損傷部を圧迫し緊急ポンプ交換を行うが、脱血管損傷では直ちに送脱血管をクランプしポンプ交換するのは非常に困難である。EXCOR®装着3年が経過している症例もあり、容易に交換のできない送脱血管自体の劣化は無視できなくなってきている。今後の方針として、送脱血管を含めた回路自体の交換を行うかを議論すべき時にきていると思われる。