[II-OR18-02] 小児補助人工心臓Berlin Heart EXCORの長期管理における取り組み~安全に心臓移植へ到達することを目指した包括的管理~
Keywords:Berlin Heart EXCOR, 長期管理, 重症心不全
【背景】我が国の小児心臓移植待機において、ドナー不足によるBerlin Heart EXOCR(BHE)装着期間の長期化が問題となっている。その中で、デバイス関連合併症を予防することや機材の不足により必要時に装着できない事例をなくすことが重要な課題と考えられている。また、長期サポート期間における患児の精神・運動発達促進の支援のあり方も新たな課題として議論され始めている。当院では、このようなVAD装着期間長期化に係る課題に対して、医学的、社会的側面から様々な取り組みを行っており、その効果、妥当性について検討を行ったので報告する。【対象・方法】対象はBHE装着患児28例。合併症低減、長期サポート回避ならびにデバイス不足解消のために、デバイス関連合併症管理、装着後の積極的心機能評価によるBHE離脱可能性の探索を行った。また、多職種連携でリバビリ介入(10例)による精神・運動発達促進を行った。【結果】BHE装着時月齢は中央値14 (1-133)か月。移植13例、離脱9例、移植待機中 4例、死亡 2例。装着期間は中央値 283 (1-848)日だが、移植待機中4例の装着期間は中央値550 (420-658)日と長期化している。リハビリ介入を行った10例のうち8例では独歩可能になるなどの運動発達が達成できた。また、BHE装着時10kg未満のDCM 10例を離脱不能4例と離脱可能6例に分けて検討すると、離脱例で装着3か月後に有意なLVEF改善 およびLVDd縮小を認めた。一方で関連合併症によるBHE離脱が3例あり、1例は心機能が改善しなかったが、心尖部カニューレ周囲部感染の制御に難渋した為BHEを離脱し、感染が制御された離脱4か月後にBHEを再装着した。【まとめ】長期装着期間が免れない現状において、多職種連携によって患児の成長を促すことが可能であった。定期的にBHE離脱の可否を検討することは妥当であると考えられたが、関連合併症の予防と心機能補助の有用性を試行錯誤しながらBHEの長期管理を行っていく必要がある。