[II-OR20-04] 複雑先天性心疾患術後患者における非線形解析を用いた心拍変動解析の有用性
キーワード:心拍変動解析, 非線形解析, 先天性心疾患
【背景】近年、心不全の状態評価や予後予測に非線形解析による心拍変動解析の有用性が証明されているが、複雑先天性心疾患術後患者におけるこれらの解析は殆ど行われていない。【目的】複雑先天性心疾患術後患者の心拍変動を評価し、非線形解析の有用性を検討すること。【方法】対象はファロー四徴症心内修復術後:T群22例(19.6歳|11.1-44.9|)及びフォンタン術後:F群23例(20.1歳|10.2-32.8|)と、ボランティアによる正常対照:N群 34例(25.8歳|10.1-45.1|)。小型心電計AC-301A (GMS Co., Ldt. Tokyo, Japan)を24時間装着し、睡眠の最後4時間の心拍データから解析を行った。周波数解析と時間領域解析はMemCalc system(GMS Co. Ltd., Tokyo, Japan)を、非線形解析はMatLAB (MathWorks, Natick, MA, USA)上の独自のプログラムで解析した。周波数解析は超低周波領域(VLF)、低周波領域(LF)、低周波高周波比(LF/HF比)を、時間領域解析はRR間隔の標準偏差であるSDNN(ms)を求めた。非線形解析はフラクタル解析としてHiguchi Fractal Dimension (HFD)と、幾何学的解析としてポアンカレプロット法でSD1及びSD2、SD1/SD2を求めた。【結果】VLFはF群がN群より低値であった(p=0.015)。HFDはT群で低下し(p = 0.003)、SD1/SD2もT群で低値であった(p=0.006)。T群ではHFDが年齢と相関して低下した (ρ=-0.6348, p=0.002)。【結論】複雑先天性心疾患術後患者において非線形解析による心拍変動解析は、疾患により異なる循環動態の異常を捉える鋭敏な指標である。今後さらに症例数を増やして検討を重ねる必要がある。